整体に通って首をほぐしてもらう。その日は楽になる。でも数日でまた元通り——ストレートネックが「通っても治らない」のには、はっきりした理由があります。
こんにちは、宮崎ほくとです。神経科学に基づいたトレーニングの資格を持つトレーナーとして、体を根本から変える方法をお伝えしています。
結論からお伝えすると、筋肉が硬くなるのは最終的な「結果」でしかありません。原因は、脳が首の正しいポジションを忘れてしまっていることにあります。だからほぐしてもすぐ戻る。この記事では①首の動きを教え直す ②感覚刺激と三半規管の刺激で動けるようにする ③良いポジションのまま体を動かすという3段構えでお伝えします。
⚠️ この記事は医療機関の受診を否定するものではありません。強い痛み、腕や手のしびれ、力が入らない、めまいや吐き気を伴う——こうした症状がある場合は、頸椎の疾患が隠れていることがあります。まず整形外科を受診してください。
ストレートネックになる3つの原因
今回はストレートネックの治し方を、脳から考えるということでお話ししていこうと思います。
まず最初にストレートネックになってしまう原因なんですけれども、大きく分けて3つあります。
- 脳が首のポジションを忘れてしまっている
- 自分の頭のポジションを認識していない
- 小脳の働きが悪くなって、伸筋が働いていない
よくわからない方も多いと思うので、ざっくり説明すると、僕たちの脳は自分の身体の地図を持っています。この地図が正しくないとき、脳というのは本来あるべきポジションではなく、効率の悪いポジションで身体をホールドしていることが多くあります。
そして脳が自分の身体のポジションを忘れてしまう原因の大きなものとして、三半規管がちゃんと働いていないということがあげられます。
三半規管は、一般的に知られている「バランスを感じるもの」とはちょっと違い、頭の動きとポジションを検知するための器官です。
そしてこの三半規管は小脳という場所と密接につながっています。小脳は伸筋群、身体の後ろ側の筋肉を働かせる役割がありますので、三半規管の働きが悪くなると、小脳の働きが悪くなって、伸筋群の働きも悪くなる。結果として余計に姿勢が悪くなることが起こります。
筋肉が硬くなるというのは最終的な結果でしかありません。いくらそこを頑張ってほぐしても、すぐに元のポジションに戻ってしまいます。今日は今お話しした理論を使いながら、ストレートネックを根本から改善していきたいと思います。
ここで簡単に僕の自己紹介をさせてください。僕はアメリカで機能神経科学という日本ではあまり見ない学問の分野を勉強してきた、現役のアスリート、競馬の騎手ということになります。自分自身のパフォーマンスを高めながら、身体の問題解決方法を発信しています。
ステップ① 首の動きを教え直す
まず最初に皆さんにやっていただきたいのは、首の動きを治すということになります。治すとはどういうことでしょうか。
僕たちの首は、本来当たり前に動けるものなんです。ですが、脳がこの動きの可能性を忘れてしまっている。動きのボキャブラリーが普段の動きのパターンから抜けてしまっていて、このポジションで動くことしか知らないから、常にこのポジションでいることになります。

ですので、単純に最初は良いポジションを教えてあげなければいけないんです。
おそらく皆さん、最初は硬くてうまく動けない、筋肉がつっぱっちゃう、動くのが難しいといったことが見つけられると思いますので、その場合にできるエクササイズをこれからご紹介していきます。手順を追ってやっていきたいと思います。
⚠️ 首の動きはすべてゆっくり、痛みの出ない範囲で。しびれや電気が走るような感覚が出たら中止してください。
① 左右に倒す/左右にひねる
まず最初に首を左右に倒します。

次に頭を左右にひねってみます。

単純な動きですが、改めてやってみると動きづらいところが感じられるかもしれません。
② スライディング(前に出す・後ろに引く)
次にスライディングというものをやっていきたいと思います。首を前に出して、後ろに引く。横から見るとこんな感じになります。


ストレートネックの人は、普段から首を前に出した状態ということになります。
③ うなだれた状態からのスライディング(最重要)
最後にもう一つ、ストレートネックの人にすごく重要な動きというのがあります。それは、今のスライディングの動きを頭を前に倒した状態で行なっていきます。
ですので、まず頭をうなだれた状態でスタートします。

そこから顎を引くようにしながら、首を元のポジションに戻していきます。

この動きをしていく中で、ちょうど頭蓋骨の付け根のあたり——後頭下筋群というんですけれども——このあたりや、首の筋肉全体につっぱるという方は、このエクササイズはすごく重要になってきます。

やってみてこれでよくなればいいんですけれども、硬くてうまく動けないしポジションもよくならないという場合には、これから行なうエクササイズを1つずつやってみて、どれが一番自分の首の動きを改善してくれるかというのを見つけてください。
ステップ② 感覚を入れて、動けるようにする
最初にやってもらいたいのは感覚入力です。何をしていくかというと、皮膚に感覚の刺激を加えていきます。
これは一般的にはマッサージとして認識されているかもしれないですが、何が違うかというと、刺激の種類によって刺激される神経が変わってくるので、いろいろな刺激を使っていきます。
皮膚刺激 — さする・こする
まず最初に皮膚刺激です。皮膚は意外と見過ごされがちですが、すごく大事な感覚器官です。僕たちのほとんどの刺激は皮膚で感じていますので、そこをさするように刺激していきます。
首の後ろ全体を、まずはさすっていく、こすっていきます。

手が硬くてうまくこういった動きができないという方は、タオルなどを使っても構いません。ポイントは皮膚を刺激するということです。
そしてそのまま頭の後ろまでいって、頭の後ろ全体もマッサージしていきます。

マッサージというか皮膚刺激ですね。ポイントは、触った後にモヤモヤした感じが残るくらいずっと触っていきます。
次に頭の皮膚全体もかき上げるようにして刺激していきます。

これは三叉神経といって、僕たちの重要な顔の神経の刺激にもなってきます。
⚠️ 強くこすりすぎないでください。皮膚が赤くなる・痛みが出るほどの強さは不要です。
刺激していったところで、もう一度首の動きをやってみます。左右に倒して、左右を向いて、前後に動かします。最後に重要な動き、頭を前に倒して引いてきます。
どうでしょうか。おそらくこれだけでも結構動きが変わったと思われる方も多いのではないでしょうか。
深い圧を加える
次にやっていきたいのは、違ったタイプの感覚刺激をしていくということです。これは何かというと、首に対して深い圧を加えていきます。
まず自分の手を合わせてもらって、首の後ろに置きます。

この状態で手首を合わせるようにして首をギューッと押さえていきます。


5秒くらい押したらリラックス、5秒押してリラックスを繰り返します。ポジションを少し変えて続けます。筋肉をほぐしているわけではないので、頭蓋骨も少し押すような感じで刺激していきます。
次に肩に手を当てて、肩の筋肉を握るように5秒間くらい。できたら緩めて、これも繰り返します。

できたら反対の肩もやります。終わったらもう一度チェックします。左右に倒して、左右を向いて、前後に動かします。最後に重要な動き、頭を前に倒して引いてきます。
ステップ③ 三半規管を刺激する
次に三半規管の刺激、これをやっていきたいと思います。
これは人によっては気持ち悪くなってしまう可能性がありますが、実はそういう人にこそやってほしいトレーニングになります。しかし、気持ち悪い状態で刺激し続けるのではなくて、自分が耐えられる範囲で刺激の量を調節しながらやっていただきたいです。
ですからレクチャーしていくんですけれども、それをそのままやるというよりは、自分のできる範囲で、スピードを遅くしたり、やる回数を減らしたりしながら行なっていってください。
⚠️ その場で回転する動きです。周りに物のない広い場所で、壁のそばで行ってください。強いめまいや吐き気が出たらすぐ中止を。良性発作性頭位めまい症(BPPV)やメニエール病など、めまいの持病がある方は、行う前に主治医に相談してください。
親指を見ながらその場で回る
まず最初に自分の目の前に親指を立てて、親指を見ます。この状態で右回りに回っていきます。2周くらい回ったら、次は反対回りいきます。



しっかり親指に焦点を合わせたまま回っていきます。気持ち悪いまではいかなくても、う~~~となっているくらいがちょうどいい負荷になります。気持ち悪い場合は、1周にする、もっとゆっくり回るという風にしていってください。
下を向いて/上を向いて回る
次に、今と同じ動きを首を倒した状態で行なっていきます。下を見て、この状態で指先に焦点を合わせて2周回ります。

同じように反対回りもやります。
こんな単純な動きなのに気持ち悪くなるのかと思われた方。これはすごく重要な三半規管のエクササイズで、小脳への刺激にもなってきます。普段からそういった部分が働いていないと、このエクササイズでも気持ち悪くなってしまったりします。
次に上を向いて同じようにやります。

反対回りもやります。
というわけで三半規管の刺激をしてきたんですけれども、これでもう一度チェックしてみたいと思います。左右に倒して、左右を向いて、前後に動かします。最後に重要な動き、頭を前に倒して引いてきます。
ここまでやってきて、だいぶ首の動きが改善されてきたのではないでしょうか。三半規管の刺激がよくないという場合には、最初は感覚刺激だけでも構いません。
ステップ④ 良いポジションのまま体を動かす
首の動きがよくなったのを使って、今度は身体のポジションを練習していきたいと思います。
当たり前ですが、僕たちは普段、首だけ動かしているわけではありませんよね。首のポジションを変えながら、それに付随して背骨のポジションというのは常に変わっています。ですから、首のポジションを良いところに保ったまま、胴体の動きをするということをやってみたいと思います。
背骨を丸める・反らす
まずスライディングで良いポジションを作ります。


このポジションを作ったまま、背骨を丸めて、反らす、丸めて、反らす、ということを繰り返し行なっていきます。


ポイントは、膝はまっすぐ伸ばしたままだとやりづらいので、軽く曲げておいて、自然と背骨が動けるようにしておきます。
左右の背骨の動き
本当はもっと回数やったほうがいいのですが、この辺にしておいて、次にやっていきたいのは左右の背骨の動きになります。
これをしていくときには、先ほどと同じようにスライディングで良いポジションを作って、このままの状態を保って、片方の足を浮かせてくるようにすると、身体が弓なりに反りますね。


こんな感じで左右の動きを行なっていきます。以上でエクササイズは終わりになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。まとめると、最初に首の動きを練習すること、これが大事ですというお話をしました。そしてこの首の動きができるようにするために、三半規管の刺激や感覚の刺激を使いました。最後に首の良いポジションを保ったまま身体を動かすということをやりました。
この3つを日常的に練習していくようにすれば、皆さんの首のポジションは自然と良いポジションに戻っていきますので、ぜひ続けていくようにしてみてください。今日も最後まで見てくださって、どうもありがとうございました。
- 筋肉の硬さは結果。原因は脳が首の正しいポジションを忘れていること。だからほぐしても戻る
- 三半規管 → 小脳 → 伸筋群の流れが崩れると、姿勢はさらに悪くなる
- ①首の動きを教え直す:左右に倒す/ひねる/スライディング、そしてうなだれた状態から顎を引いて戻す(最重要)
- ②感覚を入れる:首の後ろと頭皮をさする/手を合わせて5秒押してリラックスを繰り返す
- ③三半規管:親指を見ながらその場で2周回る。下向き・上向きでも。気持ち悪ければ1周・ゆっくりに
- ④仕上げ:良い首のポジションを保ったまま、背骨を丸める・反らす/片足を浮かせて左右に反る
- ⚠️ 回転刺激はめまいと転倒に注意。持病がある方は主治医に相談を
- ⚠️ 腕のしびれ・力が入らない・強い痛みは、まず整形外科へ
