息が浅い。声がお腹から出ない。すぐ息が上がる。呼吸のトレーニングをやってはみたけれど、寝転んで「リラックスして吸って……」を繰り返すだけで、本当に変わっている実感がない——。
こんにちは、宮崎ほくとです。神経科学に基づいたトレーニングの資格を持つトレーナーとして、体を根本から変える方法をお伝えしています。
結論からお伝えすると、横隔膜は「寝て呼吸するだけ」では効率よく鍛えられません。僕たちは普段、動きの中で呼吸しているからです。この記事では息を吸って止めた状態/吐き切った状態のまま、背骨を前後・左右に動かすという方法で、横隔膜を最大限に使える体を作っていきます。首の動きや体幹のひねりまで、その場で変わります。
⚠️ 息を止めたまま体を動かします。血圧が上がり、めまいや失神につながることがあります。高血圧・心臓や血管の病気がある方、妊娠中の方、めまいの持病がある方は行わないでください。行う場合も周りに物のない場所で、座ってできる範囲から。少しでも気分が悪くなったらすぐに呼吸を再開してください。
横隔膜を鍛えるメリットは、呼吸だけではない
横隔膜というのは、誰しもが鍛えていかなければいけない場所です。
この記事を読んでくださっているあなたは、おそらく横隔膜を鍛えることによって「息を大きく吸えるようになりたい」「呼吸を改善したい」もしくは「声質を良くしたい」「お腹から声が出るようにしたい」「持久力を改善したい」、そんなことを目的としているかもしれません。
もちろん、そのようなことに効果があるのはそうなのですが、それだけではなく、僕が専門としている神経科学の視点で考えると——
① 首こりが改善する
例えば横隔膜を支配している横隔神経は、頚椎の5番から出ていますから、横隔膜の働きがよくなると首の動きがよくなる、首こりが改善する。このようなことも予測できます。
② 自律神経の調整能力が上がる
さらには、横隔膜の感覚を処理している場所——島皮質という場所なんですけれども——その場所の働きが改善すると、自律神経の調整能力が上がり、普段からリラックスできるようになったり、もしくは普段動かなければいけない時や、スイッチを入れたいなという時にすぐ動ける体になったりします。
③ 体幹が安定する
あとは横隔膜というのは、ちょうど体の真ん中にある構造ですよね。こういった部分というのは小脳虫部や補足運動野、そういった構造にも影響を与えますので、体幹の安定にも大きくつながっているということがわかります。
なぜ「寝て呼吸するだけ」では足りないのか
ですが、トレーニングをしている多くの方は、この部分を無視しながらトレーニングをしています。さらにトレーニングをしている方であっても、本当に効果的に行われている方というのはごく少数という風に僕は思います。
なぜかというと、多くの人は寝た状態でトレーニングしていると思うんです。呼吸のトレーニング、「リラックスして息を吸いましょうね」みたいなことをやられている方、結構多いと思うのですが、実はそのようなトレーニングというのはあまり効率的ではありません。
なぜならば、僕たちは普段、動きの中で常に呼吸をしています。スポーツでもそうですし、普段の何かしら作業をするときでも。寝た状態で呼吸だけをするというのは寝る時だけだと思うのですけれども、そのような観点からしても、本当に重要なのは動きの中で横隔膜を最大限使えるようにしていく事です。
まず身体の状態をチェックする
首の動き
まず最初に言った通り、首の動き、これをチェックしたいと思います。できるだけ高い姿勢を保って立って、首を左右に倒していきます。


この時の自分の首の硬さと、どれだけ動けるのかというのを覚えておいてください。さらに首を左右に向けてみます。


人によっては、どちらか行きづらいというのを感じるかもしれません。それが、これから行うエクササイズの中で発見できる横隔膜の硬さと繋がっているかもしれませんので、その辺も覚えておきます。
体幹の動き
そして次にやっていただきたいのが、体幹の動きですね。足をぴったりくっつけてもらって、自分の目の前で手を合わせます。この状態で左右にひねっていきます。


これもどの辺まで動けるのかということと、自分の足をぴったりくっつけてバランスにも負荷がかかっていますから、どれくらいバランスが安定しているのか、そんなことにも注意を払ってみてください。
ステップ① 360°お腹をふくらませる
身体のチェックができたところで、早速エクササイズに入っていこうと思います。
まず皆さんにやっていただきたいのは、できるだけ大きく息をすることになってきます。ですから、腹式呼吸とか胸式呼吸とか考えずに、できるだけ大きく息を吸ってください。
吸ったところで息を止めてもらって、そのままお腹に空気を下げていきます。そうすると、普段の腹式呼吸なんかで膨らむように、お腹がポコッと膨らんでくると思うのですが——これだけではNGです。
なぜかというと、普段の腹式呼吸ってお腹のことばかり皆さん考えがちなんですが、本来お腹に空気が入るときは背中側も広がるべきなんです。
なのでお腹と背中にこんな風に手を当ててもらって、この状態で両側が広がるように意識をしながら空気を下に下げていきます。

大きく息を吸って、もう吸えないというところで息を止めて下に下げます。さらには左右も、全方向360°お腹が広がるように息を下に下げていきます。
ステップ② 息を吸って止めたまま、背骨を動かす
まずこれが第1段階。ここまでできたところで、ゆっくり体を動かしていきます。
前後(丸める・反らす)
どんなふうに動くかというと、まず息を吸って、止めて、下げて、背骨を丸めていきます。そして反らしていきます。


やっている中で、人によってはお腹であったり背中に変なツッパリを感じる時がありますので、あくまでゆっくり、自分が動ける範囲で、痛みを感じない範囲で行なっていくようにしてください。
ちょっとツッパリとか違和感を感じたときには、「やってはいけないよ」ということではなく、その部分をあなたは使えていないという証拠になってきますので、そこをゆっくりでいいので、しっかり動かしていくようにしてください。
左右(背骨を倒す)
次にやっていただきたいのが、思い切り息を吸った状態で背骨を左右に動かしていきます。なので思い切り息を吸って、止めて、下に下げて、その状態で背骨全体を左右に倒していきます。


これをしている中でも、左に行くとき、右に行くとき、どちらかでツッパリを感じることが多くあります。そういった時は、そちら側を重点的にゆっくりしっかり動かしていくようにしてください。
ステップ③ 息を吐き切ったまま、背骨を動かす
これができましたら、次は同じことを息を吐き切った状態で行っていきます。つまり横隔膜を完全にストレッチした状態で身体を動かすということを、脳に学習させていくわけなんです。
今度は思い切り息を吐きます。息を吐いて「吐ききれないよ、もう苦しいよ、もう吐けないよ」というところでストップします。
ストップしたまま、今度はお腹をへこませていきます。ヨガの呼吸みたいな形でお腹をペコーンと潰していきます。そうすると今度は、横隔膜が吐き切って上がっているところから、さらに上に上がっていきます。

この状態を作れたら、ここで同じように動いていきます。吐いて「苦しいよ、吐けないよ」、止めてお腹をへこませて、まずは前後です。


できたところで、今度はもう一度同じことを左右で行っていきます。息を大きく吐いて、止めて、お腹をへこませて、左右に倒します。


そしてリラックスします。
もう一度チェック — 首と体幹はどう変わったか
このようにやっていくと、やっていく中でも既に「呼吸が深く入るようになってきたな」「声質が変わったな」というのを即感じられることが多くあります。僕の声なんかも、もしかしたら少し変わってることを感じていただけるのではないでしょうか。
できたところで、最初にやったチェックをもう一度やっていただきたいんですけれども。まず最初、できるだけ高い姿勢を保って首を左右に倒していきます。そして左右を向いてみます。
この時点で「首がかなり楽になった」という方がかなり多くいると思うんですけれども、さらに足をぴったりくっつけて手を前で合わせて、体幹の動きもチェックしていきます。これも最初より行くようになったよという方、多いのではないでしょうか。
こんな形で、横隔膜というのは自分の身体の動き、背骨の動きなんかを組み合わせていくと、より効率的・効果的に鍛えていくことができます。ですのでこの方法、どこでもできますから、皆さんも日常生活の中に取り入れて行なっていくようにしてみてください。
今日も最後まで見てくださって、どうもありがとうございました。
まとめ
- 横隔膜を鍛えるメリットは呼吸だけでなく、首こり(横隔神経は頚椎5番から出る)・自律神経(島皮質)・体幹の安定(小脳虫部)にまで及ぶ
- 寝て呼吸するだけでは非効率。普段は動きの中で呼吸しているから
- まず首の左右の倒し/向きと足を閉じて体幹をひねるのをチェックしておく
- ステップ①:大きく吸って止め、お腹・背中・左右の360°が広がるように空気を下げる
- ステップ②:吸って止めたまま背骨を丸める・反らす/左右に倒す
- ステップ③:吐き切ってお腹をへこませたまま同じ動きを前後・左右
- ツッパリを感じる方向は使えていない証拠。そこをゆっくり動かす
- ⚠️ 息を止めて動くと血圧が上がる。高血圧・心疾患・妊娠中の方は行わない

首が少し楽になりました。面白いです