しゃがむと脚の付け根が詰まる。ランジで前に踏み込むと、その先に行けない。ストレッチで伸ばしても、翌日にはまた同じところで止まる——股関節のつまりは、筋肉をほぐしても抜けません。
こんにちは、宮崎ほくとです。神経科学に基づいたトレーニングの資格を持つトレーナーとして、体を根本から変える方法をお伝えしています。
結論からお伝えすると、股関節が詰まるのは「股関節からの情報を脳が正しく認識できていない」からです。硬さやつっぱりは結果(アウトプット)であって、原因は入力(インプット)の側にあります。この記事では膝立ちのまま頭で円を描くだけで、股関節の固有受容覚を一気に増やすドリルをお伝えします。
股関節が詰まる本当の原因
今回は、股関節のつまりを取るテクニックをご紹介していきたいと思います。
皆さんに一番最初にお伝えしたいのは、なぜ股関節が詰まるのか……ということになります。
一般的には「筋肉がかたまっているから筋肉をほぐしましょう」ということをよく言われるんですけれども、筋肉がなぜかたまってしまうのか。それは僕たちの股関節からの情報を、脳が正しく認識できていないからです。
僕たちの筋肉は、神経によってコントロールされています。神経系の3つの役割は、インプット、解釈、アウトプット。この3つになります。
多くの人が気にする筋肉のつっぱり、硬さ、こういったものはアウトプットにあたります。そしてアウトプットに影響を与えるのはインプットの質です。
今回は股関節からの固有受容覚、インプットの質を上げることによって、皆さんのアウトプット——筋肉の硬さやつっぱり、股関節のつまりが取れないか、ということをやっていきたいと思います。
ここで簡単に僕の自己紹介なんですけれども、僕はアメリカで機能神経科学という日本では珍しい学問の分野を勉強してきた、現役のアスリート、競馬の騎手ということになります。
どこにいっても治らず10年間続いた腰痛、落馬の後遺症、目の見え方。こういったものを改善してくれた神経科学が基になった考え方を、日本でも皆さんに知っていただきたいと思っています。もしもっと知りたいという方は、メルマガ登録していただいて、ぜひそちらもチェックしてみてください。
まず股関節のつまりをチェック
まず最初に皆さん、自分の股関節のつまりを確認しておいてください。
どんな風に確認するかというと、こんな感じでランジの姿勢になってもらって、後ろの脚をしっかり伸ばして少し前に踏み出してみます。


この時に股関節がどのくらい行けるかというのを確認します。チェックができたら、早速エクササイズのほうを始めていきます。
エクササイズ — 膝立ちで頭のてっぺんに円を描く
⚠️ 膝立ちで行うので膝に負担がかかります。必ずマットやクッションの上で行ってください。変形性股関節症・股関節唇損傷などで治療中の方、人工関節の方は、行う前に主治医に相談を。鋭い痛みが出る方向へは動かさないこと。
基本の形
まず最初に膝立ちになって、片方の脚を斜め前に踏み出します。

皆さんにやっていただきたいのは、この状態でできるだけ背骨をまっすぐな状態に保ったまま、頭のてっぺんで円を描いていくということになります。
これをしていくとどうなるかというと、自然と、つまりを感じる股関節が色々な方向に動かされていきます。そうすると関節の神経が刺激されて、固有受容覚、さっきお話ししたインプットの情報が改善されていきます。
そうするとどうなるかというと、最終的なアウトプット——筋肉の緊張度合い、バランス、そういったものが変わってきて、つまりが取れるということが起こってきます。
一番のポイントは普段動かされていないところをしっかり動かしていってあげるということになります。ですけれども、そういった場所は痛みを感じたり、うまく動かない時がありますので、うまく動かない場所や痛い場所は、ちょっと動くスピードをゆっくりにしてやってみてください。
最初は壁などを支えにして行なっていったほうがいいかと思います。

① 後ろの脚はまっすぐ
それでは早速始めていきたいんですけれども、まずは右回りに、最初は大きくなくていいので、少しだけ身体を揺らすようにして動いていきます。

壁につかまりながらでもいいので、下におろしている脚のほうの手は股関節のあたり——ちょうど腰から下ろしてきた出っ張っている部分、大転子というんですけれども、その部分に当てて股関節の動きを感じていきます。

この部分がカクカク動くのではなく、できるだけスムーズに円を描くような形で行なっていってください。ゆっくりでいいので、徐々に動きを大きくしていきます。

円を描いていくと、普段動かされていないところがミシミシッと動いたりします。そしてできたら反対回りもやっていきます。
徐々に大きくしていって、できるだけ綺麗な円を描きます。自分がスキップしている場所はないか、円を描いている中で飛ばしている場所がないかということを確認しながら行なっていきます。
あくまで背骨はまっすぐな状態を保ったまま、頭で描く円がきれいな円になるように、そんなイメージを持ちながら行なっていってください。
② 後ろの脚を内側に向ける
ここまでできたところで、次に皆さんにやっていただきたいのは、後ろの脚の向きを変えるということになります。
どういうことかというと、まず最初にまっすぐ後ろに向いている脚を内側に向けていきます。

最初はそこまで思い切りいかなくてもいいのですが、少し斜め45度くらい内側に持ってきて、今度はこの状態で同じように動いていきます。

脚の向きが変わったからと言って、身体が斜めを向いてしまったりしないように気をつけながら、自分の身体の向きはまっすぐ。その状態で動かしていきます。

これもできるだけ頭できれいな円を描くようにしながら回していって、できたら反対回りもやります。できるだけ大きく、きれいな円を描きます。
③ 後ろの脚を外側に向ける(難しい)
次は皆さんお気付きの通り、今度は反対です。これは結構難しいので、ちょっと練習が必要かもしれません。外側に足を向けてもらいます。

そうすると今度は身体が、立てている脚のほうに向きやすくなってしまうので、ちゃんと身体の向きはまっすぐ、立てている脚と同じ方向というのを意識しながら、ゆっくり動いていきます。

最初は右回りから。ちょっとカクカクなると思うんですが、そこをしっかりきれいに動くということを意識してください。最初は頑張って大きく動こうとかしなくて大丈夫です。動ける範囲できれいに動くことが重要です。そして反対回りもやります。
「正しい動き」は存在しない
こんな感じで、股関節からの情報、脳に対してのインプットの情報=固有受容覚を増やしていってあげます。
一般的には「股関節はこういう風に動くべきなんだ」というような話がされますよね。実際は、僕たちの身体は動きの可能性は無限大で、色々な動きができます。そんな中で「この動きが完全に正しい」というのは、実は存在しません。
一番重要なのは、色々な動きの可能性を自分の脳が知っていること、身体が経験したことがあること。それが重要ですので、そういった意味合いでこのトレーニングはすごく効果的なものになってきます。
そしてしばらく動かしていったところで、一度立ち上がって自分の股関節の動きを確認してください。今やった側とやっていない側を比べると、僕はかなり股関節の動き、そしてつっぱり感、詰まり感がなくなっているのがわかります。
横方向でも同じことをやる
今度はできたら同じようにして、脚を真横に出すように踏み出して、同じように今の動きを繰り返していきます。

足幅は横に広げたような感じで、片方だけ膝を立てて壁につかまって、最初は後ろの脚先はまっすぐにした状態で、きれいに円を描くようにしていきます。5回いきましょう。反対回りも5回やります。
次に足先を内側に向けて同じように円を描きます。

左右5回ずつ行きます。特に前方向ですね、ここが難しい方が多いと思うので、しっかり動かしていきます。
次に内捻りで5回ずつやります。

終わったら立ち上がって、動きやすさをチェックします。もう全然違いますね。

こうやって良い感覚情報を使って身体を動かすということをやっていってあげると、普段の動きから変わってきます。そうすると皆さんは、何をしなくても自分の身体のいい状態を日常生活の中で作っていけるということになりますので、ぜひこのトレーニングを続けてやっていただければという風に思います。
今日も見てくださって、どうもありがとうございました。
まとめ
- 股関節が詰まるのは筋肉が硬いからではなく、脳が股関節の位置を正確に把握できていないから
- 硬さ・つっぱりはアウトプット。変えるべきはインプット(固有受容覚)
- ドリルは膝立ちで片脚を斜め前に踏み出し、背骨をまっすぐ保ったまま頭のてっぺんで円を描く
- 手は大転子に当てて、股関節そのものが動いているかを感じる
- カクカクせず、飛ばしている方向がないように。動く範囲できれいに描くほうが大事
- 後ろの脚をまっすぐ → 内向き → 外向きと変えて、それぞれ両回り
- 次は脚を真横に踏み出して同じことを5回ずつ
- ⚠️ 膝立ちなのでマットの上で。鋭い痛みが出る方向へは動かさない

変形性股関節炎の、末期と診断され、すぐにでも手術をした方が良いと言われた方にも効くでしょうか?
もし良いとすれば何に注意をして行えば良いでしょうか?