腕を後ろに回すと突っ張る。整体でほぐしてもらっても、数日で元に戻る。肩そのものを何度もほぐしているのに変わらない——それは、原因が肩にないからかもしれません。
こんにちは、宮崎ほくとです。神経科学に基づいたトレーニングの資格を持つトレーナーとして、体を根本から変える方法をお伝えしています。
結論からお伝えすると、肩の動きは「顔の感覚」から変わることがあります。顔の感覚を担う三叉神経は、脳幹の網様体を経由して全身の筋肉の緊張度合いを調整しているからです。今回は画家の小西さんをお迎えして、肩を一切触らずに肩の動きを変えていくセッションの一部をお見せします。
今日のゲストは画家の小西さん
今回のカラダマニアちゃんねるは、僕がどんなふうに神経科学を使って身体の問題を改善していくのかというのをお見せしたいと思います。今日は、画家として活動されている小西さんにお越しいただいて、一緒にセッションしていこうと思います。小西さん、よろしくお願いいたします。
今日は肩が痛いんでしたよね?
小西さん(以下「小」)「動きが悪いのと、痛みは今はないですが、特定の動きをするとすごく突っ張る感じがします」
その特定の動きを見せてもらってもいいですか?

なぜ「顔」から肩を攻めるのか — 三叉神経と網様体
腕を後ろに回す動きが痛いということで。他にも実はいろいろ聞いていて、顔の感覚の問題とかがあったりする。もしかすると、その顔の感覚の問題というのが今の肩関節の動きと関連しているのではないかという風に僕は考えるので、そこを改善していきたいと思います。
顔の問題というのは、三叉神経の働きの問題なんですね。歯列矯正だったり、歯科治療をたくさんしてきているということで、もしかしたらそれが三叉神経、そして網様体の働きに影響しているのではないか。
さらにその網様体という場所が、全身の腹筋群と伸筋群のトーン、緊張具合を調整している部分ですので、そこの働きを改善したら、もしかしたら肩の動きがよくなるのではないか、ということで試していきたいと思います。
顔の感覚のチェック
⚠️ ここで行っているのは資格を持つ専門家による評価です。冷たいもの・針状のものを顔に当てるチェックは、自己流でやると皮膚や目を傷つけるおそれがあります。ご自宅で試すなら、刷毛や柔らかいティッシュで左右をなでて比べる程度にとどめてください。顔のしびれ・感覚の左右差が続く場合は、必ず医療機関を受診してください。
まず最初にやっていきたいことは、顔の感覚をチェックしていくんですね。目をつぶっていただいて、左右の差を教えてほしいんですね。
眉の上、頬、顎のラインを刷毛で撫でます。

小「左のほうが強い」
左のほうが強いということで。感覚もいろいろ違いますので、今度はバイブレーションで同じ場所を触ります。
小「左のほうが強い」
左のほうが強いんですね。今のが三叉神経主知覚核という場所の感覚になってきます。
次に三叉神経脊髄路核として、冷たい感覚、冷感温感、それと針の感覚、こういったものを見ていきます。こうやって見ていくと、完全に左側に問題があるような感じですね。
実践 — 噛む・光を当てる
① 治療した側の奥歯で噛む
ではこの感覚の問題を改善していくのにどういうことをしていくかというと、三叉神経は実は顎の動きもコントロールしているんですね。
右側で歯科治療が多かったりしますか?
小「はい」

顎をグッと噛んでみて、すると右側のほうが若干力が入っている感じです。こうやって見てみても左側のえらが張っているような感じ、左側の筋肉が発達しているような感じなので、ちょっとこれを右の奥の、歯科治療したあたりで噛んでもらっていいですか?グッと噛んでください。
⚠️ 強く噛みしめる動きです。顎関節症の方、顎に痛みや音がある方は行わないでください。差し歯・被せ物が入っている場所を強く噛むのも避けましょう。
噛んだところで、もう一度感覚を見ていきます。噛みながら刷毛で眉の上、頬、顎のラインを撫でます。
小「同じ(感覚)」
② 下から光を当てる
ちょっとライトを照らして動かしてあげると……顔の感覚とか他の感覚もそうなんですけれども、感じているのは頭頂葉という場所なんですね。


光を当ててあげると、下側からの視野からの刺激というのは視放線というところの関係で、左側の頭頂葉の刺激になってくるんですね。
顔の感覚の場合には両側の皮質だったりするんですけれども、例えばライトを当てつつ感覚を見てみるとどうでしょう。
小「さっきより全然感じます」
これで顔の感覚のリハビリみたいな形になります。さっきより全然いいですね。反応速度も速くなっていて、「自分でどっちかな、わからないな」という感覚がなくなってきていますね。
肩を触らずに、肩の動きが変わる
なので、このような感覚の変化が起きるということで。こうやって三叉神経の感覚を改善してあげると、腕の動きどうですか。
小「なんか今やりながらフワーって」
抜ける感じがありました?さっきより腕が後ろにいってますよね。

小「ちょっとまだ肩の辺が張ってやりにくいですけど、やりながら」
特に三叉神経の感覚は、橋から始まる「橋網様体脊髄路」というものの働きで伸筋群の働きを活性化してくれたりしますので。今の動きだと後ろに行く動きですね。なので、その動きが少しやりやすくなったりしたのかなと考えられますね。
なぜ「ほぐす」だけでは戻ってしまうのか
こんな感じで、肩はいじっていないんだけれども、肩の動きとか痛みの問題が改善できたりします。
そして、これは肩をいじって肩の筋肉をほぐしたりするのと何が違うのかというと、問題をもっと根本的に解決していけるということなんですね。
どんなに肩をほぐしたりしても、根本的な筋肉の緊張度合いを調整している場所の働きが戻っていなかったりすると、何回もほぐしたり何回も鍛えたりしても筋肉の状態というのは定着していませんから。根本的な脳の問題を改善してあげると、いろいろなことが芋づる式に解決しやすくなってくるということで、こういうことをいろいろやっています。
今日はちょっと僕のやっているセッションの一部をお見せしたんですけれども、こんな感じで神経科学を使ったトレーニングというのは行なうことができます。これだけではないんですけれども、自分の顔の感覚とか試していただけたらなという風に思います。
ちなみになんですけれども、今、小西さんが着ているこのTシャツ。こちらオーダーメイドで、こういったデザインを小西さんが作ってくださるサービスをやっていますので、ぜひそちらのほうも直接メッセージいただければなという風に思います。

今日は最後まで見てくださって、どうもありがとうございました。
まとめ
- 肩の動きが悪い原因は、肩ではなく顔の感覚(三叉神経)にあることがある
- 三叉神経 → 網様体は、全身の屈筋群・伸筋群の緊張度合いを調整している
- 歯列矯正や歯科治療の歴が、三叉神経の働きに影響していることがある
- チェックは目を閉じて、刷毛やバイブレーションで顔の左右を比べる
- アプローチは治療した側の奥歯で噛むことと、下から光を当てる(視放線を介した頭頂葉への刺激)
- その結果、肩を一度も触らずに腕が後ろへ回るようになる
- ほぐすだけでは戻るのは、緊張度合いを決めている側が変わっていないから
- ⚠️ 針や冷たいものを顔に使う評価は自己流でやらない。顎に痛みがある方は強く噛まない
