2023.10.20
- 不調を治す
- 脳と身体の仕組み
【プロ向け】痛みや不調コレを知らずに治すのは無理です。
こんにちは、宮崎北斗です。
今回は、治療家さんやトレーナーさんなど、プロとして活躍されている方々に向けてお話しします。
もちろん自分の体に興味のある方にも、ぜひ読んでただきたいです。
今日お話しすることは、なぜ痛みは起こるのか?なぜ不調は起こるのか?ということです。
この考え方は非常に重要で、知らずに、自分や他の方のさまざまな不調を治すことは、ほぼ不可能です。
であるにもかかわらず、現在のリハビリテーション・整体・トレーナー業界には
ほぼ広まっていない知識であり、僕が一番伝えたいことです。
まず、痛み自体に関してですが、何だと思いますか?
痛みと不調は体に起こる問題である、と考えている方、恐らくとても多いと思いますが、
これは全て間違いです。
痛みと体の不調は、体に起こっている問題と直接的な関係はありません。
例えば、足が痛い患者さんが来たとします。
もし、この患者さんの足に何かしらの問題が起こっていたら、僕たちは治すことは不可能です。
ですが、いろいろな治療家さんがいますので、
「足が痛い」という患者さんにマニュアルセラピー、鍼治療など色々なことをして、
「痛みが取れた!」と言って帰っていくことが多くあり、だからこの治療院業界は回っています。
ただ、そういった方々が、その患者さんの足に合った問題を解決しているかといえば
そうではありません。
ある意味では問題を解決してはいますが、
その足に起こった、何かしらの怪我などを解決することは、ほぼ不可能です。
恐らく多くの方の場合、「その足の筋膜をほぐしました」「筋肉をほぐしました」など、
このような説明を受けることが多いと思います。
実は、これは間違いです。
筋肉が固まったり、筋膜がその動きが悪くなったり、それ自体は痛みの原因にはなりません。
最新の神経学からの話ですが、その痛みは、脳が作り出しているアウトプットです。
何のためのアウトプットかというと
「今、自分の中で危険なことが起こっている可能性がある」
「何かしらのアクションを起こしてその危険を避けなさい」
と伝えるための痛みです。そう考えると、足に痛みがあった時、
そこに問題が起こってるとは限らないということです。
自分の体を出して、皮膚をつまんでみてください。
ギューっとつねると痛いですよね?
ぱっと放して、手を見てみて、怪我した方はいますか?
切れたり、血が出るほどつねった方はいないと思います。
痛みはこのように、危険が起こりそうである、という脳の予測によって発せられるものです。
その予測は、必ずしもその神経の刺激(侵害受容刺激と言います)、
侵害受容刺激だけではありません。
自分の右手でつねっていれば、自分の右手でつねっているという情報もそうです。
例えば、目で見ている注射の針など、刺されるところを見ていると余計痛く感じます。
そのような視覚情報での刺激や、注射を刺される前の病室の匂いなど、さまざまな情報が積算されて、
脳のあらゆる場所が関わることで、ひとつの痛みを作り出しています。
問題が起こっている一つの箇所、神経の何かしら、侵害受容感覚刺激と言いますが、
それは痛みの問題にはならず、要因の一つになります。
さらに言うと、いろんな不調で筋肉が硬くなることや、筋肉にうまく力が入らないこと、うつ感情、
これも全て脳が作り出す痛みと、ほぼ同じような仕組みのアウトプットです。
何かしらの自分のアクションを、間接的にも直接的にも変えることによって、
自分の体を守ろうとすることを目的とした、脳の仕組みです。
冒頭の足の例に戻りますが、触ったり、鍼治療をしたり、揉んだり、温めたり冷やしたりといったこと、
これらは、感覚情報を足しているのです。
なぜ感覚情報を足すことが必要か、それは感覚情報を使って危険を感じているからです。
ここが触られている、今強く押されているな、何か鋭いものが刺さっている、
このような感覚情報を使って自分の体の危険を感じ取り、
痛みを発するかどうか、脳が無意識に働いてアウトプットを作っています。
足の感覚が正常に働いていないこと、
右と左と比べてみたら、右の方が何か感覚が鈍いという時、
脳はは何が起こっているか分からない、もしかすると危険が起こっているかもしれない、
そのように認識されることが多いのです。
暗闇の中を思い切りダッシュできないのと一緒で、
分からないものは、脳にとってはすごく怖いものなので、
必然的に痛みを作ってみたり、筋肉を固めてみたり、力が入らないようにしてみたり、
ということが起こります。
ひとつの痛みの仕組みですから、足りていない感覚情報を足すことによって痛みが取れる、
脳がその部分に対してより信頼を増す・認識を増すことによって
「ここは痛んだり、筋肉を固めなくても大丈夫」
となり、今あるテンション緩めてくれ、さらに痛みを取ってくれたりと、そのようなことが起こります。
基本的に多くの場合、一般の方は感覚情報が足りていないため、
それで痛みが取れることが少なくありません。
さらに言えば、それだけではなく、感覚情報伝達は末梢神経に問題があるかもしれませんし、
それをさらに伝達する脊髄の問題かもしれません。
処理をしている小脳か脳幹、視床、皮質、島皮質など、
そういったいろいろな部分が関わって感覚情報を処理しているので、
1箇所、足の痛みといっても、いろんな問題が起こっている可能性があると言えるのです。
最後に、少し面白い話をします。
脳幹に問題が起こっていた場合、足首の痛みにどのように関わってるか、という話です。
足首が痛い時、揉んでみたら余計に痛くなってしまった、ということを経験された方もいると思います。
そういった時、脳幹に問題があった場合の話をします。
脳幹とは、脳幹網様体という部分(PMRF)に遠心性の痛みに抑制路がありますので、
いろんな痛みの感覚が登ってきて、本来であれば不要な情報はそこでシャットダウンされますが、
それがうまく働かないがために、あらゆる不要な情報までが、痛みとして感じられてしまう、
ということが起こります。
なぜ働きが悪くなるかというと、実は反対側の身体の部分の感覚情報が足りていないことで、
起こることがあります。
左手の動きは右の皮質で認識されています。右の前頭葉・頭頂葉です。
右側の皮質は同じ側の脳幹網様体に出力して、この痛みの遠心性抑制路を働かせています。
例えば右足が痛くて右足を揉んだ時、どちらの脳幹網様体を刺激できるか、というと左側です。
つまり、逆です。
右側が痛いときに、左側を刺激することが必要な時があります。
これはとても面白い話で、僕も目からうろこでした。
このように神経系を知って、包括的に体の痛みのことに対して考えていくと、
さまざまな問題を解決できると言えますので、神経系を勉強しましょう。
今のリハビリテーション系業界は、機能解剖学や解剖学で見ることがとても流行っています。
筋膜の繋がり、この筋肉のバランスが悪いために痛みが出ているなど、と言われる方が多いです。
その痛みの仕組みを考えた時、痛みはそのように起こるものではなく、
脳が感じている潜在的な危険が元になって起こっているものなのです。
潜在的な危険を取り除くために、感覚情報を増やしたり、
潜在的な危険の元になっている、さまざまな要因を取り除いたり。
注射の例で言えば、見ないでおく、、呼吸する、といったことで
痛みを感じずに注射を受けることができますよね。
同じように、慢性腰痛なども、本当に治したいのであれば、
自分の感覚情報から問題が起こっている部分を全て評価して、
それぞれの問題を解決していく必要があるということです。
日本にはまだまだ少ない情報ですが、皆さんも少しアンテナを張って、
神経系に関してもう少し興味を持っていっていただきたいと思っています。
今日は、疼痛治療、不調改善の方法という、一番大切な考え方をシェアさせていただきました。
どうもありがとうございました。
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