ヒールを履いた日の夕方、足が痛い。腰が重い。写真に写った自分の歩き姿が、思っていたのと違う。そんな経験はありませんか。
こんにちは、宮崎ほくとです。神経科学に基づいたトレーニングの資格を持つトレーナーとして、体を根本から変える方法をお伝えしています。
結論からお伝えすると、ヒールでの歩き方は「意識」でも「筋トレ」でも変わりません。変わるのは、足の感覚情報を作り直したときです。今回紹介するトレーニングは、その場で効果を実感でき、ヒールを履いた後の体の不調や疲れを軽減できます。
トレーニング方法を紹介する前に重要になるのが、トレーニングのコンセプトです。皆さんにしっかり理解していただくことで、その後のトレーニングの効果も大きく変わります。一番重要だと思いますので、スキップせずにコンセプトを確認してから取り組んでください。
僕自身はアスリートとして活動しながら、アメリカで神経科学をもとにした人間の体の変え方、トレーニング方法を学ぶトレーナーです。その視点から見ると、一般的に紹介されているトレーニングや、筋肉を鍛えるだけのトレーニングは「少し違うな」と思うところが多くあります。
重要な3つのコンセプト
コンセプトには重要なことが3つあります。1つ目はヒールを履いたときの歩き方が崩れる原因、2つ目は意識してそれを直そうとしてもダメな理由、3つ目はこのトレーニングをするための大事な考え方。それぞれ説明します。
①ヒールで歩き方が崩れる原因
ヒールを履いた時に歩き方が崩れてしまう原因は、かかとの位置が変わることで骨盤が前傾し、背中が反ってしまうことにあります。バランスが崩れた状態はすごく不安定なので、安定させるために膝が曲がります。

だから、ヒールで歩き方が良くない人はこのようになりがちです。おそらく自分では気づいていないかもしれませんが、多くの女性はこのように歩いています。この歩き方を直すには、ただ筋肉を鍛えるだけでは不十分です。
②意識して直そうとしてもダメな理由
意識して毎回毎回いい姿勢を保って歩けばいいのでは?と思うかもしれません。なぜダメかというと、僕たちの体のほとんどの動きは無意識に行われているからです。
この無意識の動きは、体からの感覚情報を基に作られています。毎回意識して良い姿勢を保とうとしても、意識するそもそもの自分の体の感覚が間違っていたら、そこから作られる「良い姿勢」も間違ったものになります。
そのため改善しなければいけないのは、自分の感覚情報です。ヒールを履いている女性に限らず、多くの人がその感覚情報を間違ってしまう部分があります。それが足です。足の感覚情報を正確にしていくことによって、僕たちの立ち方や歩き方は自然に変わっていきます。
③トレーニングは「ヒールを履いた状態」で行う
筋トレするだけではダメなのは、脳の特異性の法則にあります。筋肉は鍛えれば使えるようになると思うかもしれませんが、筋肉は、その鍛えた体のポジション・その可動域でしか使えません。
いくら床の上で頑張ってふくらはぎや腹筋のトレーニングをやっても、それは「床の上で寝転がって腹筋ができる筋力」しかつかないということです。床に寝転がって鍛えた腹筋や足の筋肉は、なかなか立って使う筋肉になりにくいのです。
そのためこれから行うトレーニングは、全てヒールを履いた状態を想定します。そうすることで、皆さんの体はヒールを履いたポジションで使える体・筋肉・動きを学習することができます。
以上の3つを踏まえて、トレーニング方法をやっていきます。
トレーニング①足の裏の感覚を上げる
最初に、テニスボールを使って足の裏の感覚をよくしていきます。テニスボールを床に置いてもらい、つま先でグッと踏み、そのまま前に転がしていきます。

しっかりかかとの一番後ろまで転がせたら、また前に戻り、踏む位置を親指の真下にして後ろまで踏んでいきます。次は人差し指の真下。このように徐々にポジションを横にずらしていきながら、ボールを足の裏全体で踏むようにします。
そうすることで、足の裏に多くある圧感覚受容器という神経を刺激していくことができます。この神経で僕たちのバランスを繊細に感じることが重要になりますので、まずはここをしっかりトレーニングしていきます。
反対の足も同じように、最初は親指側で踏んでかかとまで。次に人差し指、中指あたり。もっと細かくしたいのであれば、1本1本指を分けて踏む位置を変えても良いと思います。小指側までしっかり行います。
トレーニング②中足骨の動きを出す
次に、中足骨という足のちょうど真ん中あたりの骨の動きをよくしていきます。ヒールはつま先立ちの状態になりますが、その時にこの骨の周りの感覚がしっかり働いていないと、体の動きは必然的に影響を受けます。
中足骨は色々な方向に動きます。この色々な方向に動く感覚を脳に教えます。そうすることで、つま先立ちの状態でも繊細にバランスを感じ、自分の姿勢を調整できるようになります。
はじめに、片足を一歩前に出します。かかとを軽く浮かせた状態で前足にグッと体重を乗せます。この時に気をつけてほしいのは前屈みにならないこと。できるだけ高い姿勢を保って前に体重をかけます。
この状態でかかとを使って円を描いていきます。ポイントは、つま先と母指球のあたりをしっかり床にくっつけた状態のまま、かかとを動かしていくことです。最初は円を描いても、おそらく全然動かないと思います。

指が浮いてしまい「何だよ、これ全然出来ないじゃないか!」と思うかもしれません。しっかり踏んで、膝を内・外へ動かしてください。そうすると、足がグリグリ動くのを感じられると思います。

まずはこれだけで大丈夫です。反対側もできれば円を描きます。できない場合は内外に動かすだけで大丈夫です。何回か試してみると、これだけで少し立ちやすくなると感じられます。
トレーニング③骨盤の前後傾をコントロールする
次に、骨盤が前傾して背中が反ってしまう状態を改善していきます。まずは骨盤の動きからです。できるだけ高く良い姿勢を保ち、お腹と背中に手をあてます。

その状態で膝をしっかり伸ばします。ヒールを履いた時によく問題になるのは膝が曲がった状態ですので、曲がった状態ではなく、膝を伸ばした状態でトレーニングします。
触っているあたりを動かさないようにしながら、骨盤を前・後ろと動かしていきます。

お尻の筋肉を少し使いながら前後に動いていきます。これは結構簡単だと思います。もしできない方は、最初は膝を曲げても構いません。まずは骨盤の動きを作っていき、骨盤の感覚を良くしていきます。
トレーニング④3つを組み合わせてヒールの歩きにつなげる
今やった3つを組み合わせて、実際のヒールを履いた歩きにつなげていきます。まず、片足を一歩前に出して立ち、骨盤を少し丸めた状態を保ちます。その時に頭のてっぺんが天井に向かって伸びるようにかかとを上げていきます。そのまま前の膝を軽く曲げて、最初にやった「膝を内外に動かす」動きをしていきます。

しっかりつま先が床に接触した状態で、膝を内・外・内・外と、いけるところまで動かしていきます。もちろんできる人は、ここでかかとを円を描くように動かしてみてください。バランスの負荷がかかるのでちょっと難しいです。
同じように反対も片方の足を前に出します。最初はスタンス広めでも大丈夫です。慣れていくに従って、徐々に広いスタンスが狭いスタンスになります。最初は広めに取って、骨盤を後傾、膝をしっかり伸ばし、頭が伸びるようにして、かかとを動かします。
前脚の膝を少し曲げて内・外・内・外。この時点でバランスが取れない、崩れすぎてしまう場合は、その段階でヒールを履く下地ができていません。このトレーニングをしっかりやってください。もちろん最初は壁につかまっても構いません。
トレーニング⑤体幹を動かして歩きにつなげる
足の動き・感覚を良くできたところで、今度はもう一度つま先立ちで骨盤を後傾、頭をできるだけ高い位置に保ち、体幹を少し動かしていきます。まず、手を前に出し、横を向いてリラックスして、まっすぐ戻ります。

少し崩れます。手を前に出して、横を向いてリラックス。足をスイッチして、同じように膝を伸ばして骨盤を少し後傾、天井に向かって伸びたところで、手を前に出して横に向いてリラックス。反対にも捻ってリラックスして戻る。この動きを何回か繰り返していきます。
最後に、足を真横に揃えた状態で、壁か何かにつかまりかかとを浮かせます。この状態で、できるだけ高い背を保てるように頭のてっぺんを上に伸ばしていき、骨盤を後傾・前傾と動かしていきます。
しっかり足のつま先全体に体重がかかっているのを意識しながら動かしていきます。外に乗ったり内側になったりしないように、足の指先全体に体重をかけながら、骨盤が自由に動くことを学習していきます。

このように前後に開いても同じことができます。膝を伸ばして骨盤を前後に動かします。

足をスイッチして、骨盤を前後します。ここまでできたら、少し歩いてみます。実際にヒールを履いていることを想定して、軽くかかとを浮かせて、骨盤は前に反り過ぎない後傾を保って上に伸びます。

この状態で歩いてもらうと、結構バランスが取りやすくなり、良い感じで歩けることが分かるかと思います。
⚠️ かかとを浮かせた片足立ちやつま先立ちは、ふらつきやすい動きです。最初は必ず壁や椅子につかまって行い、周りに物のない場所を選んでください。足首・膝・腰に痛みが出る場合は中止してください。
まとめ
これでヒールを履いて歩いていただくことによって、皆さんの歩き方は自然に変わっていきます。簡単なトレーニングなので、ぜひ続けてください。
- ヒールで歩きが崩れるのは骨盤が前傾し、安定させようと膝が曲がるから
- 動きの大半は無意識。感覚情報が間違っていれば意識しても直らない
- 鍵になるのは足の感覚情報
- 筋肉は鍛えたポジションでしか使えないので、ヒールの姿勢で練習する
- ①テニスボールで足裏の圧感覚受容器を刺激する
- ②かかとで円を描き、中足骨の動きを脳に教える
- ③膝を伸ばしたまま骨盤を前後傾させる
- ④3つを組み合わせ、かかとを上げた姿勢で膝を内外に動かす
- バランスが崩れるうちはヒールを履く下地ができていない合図
- ふらつく間は壁につかまって行う
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