よく眠れない。リラックスできない。原因のはっきりしない不調が続く。病院でも整体でも「自律神経の乱れですね」と言われて、それ以上の説明がない——。
こんにちは、宮崎ほくとです。神経科学に基づいたトレーニングの資格を持つトレーナーとして、体を根本から変える方法をお伝えしています。
結論からお伝えすると、「自律神経の乱れ」という言葉は、「私は不調です」と言っているのとほぼ同じくらい広い言葉です。インプット・解釈・脳の予測・アウトプットのどこに問題があるかで、やるべきことは変わります。この記事では、そのうち「副交感神経の働きを高める」方向に絞って、迷走神経を刺激するテクニックをお伝えします。
⚠️ この記事で紹介されているテクニックには、医学的に注意が必要なものが含まれます。とくに「頸動脈を圧迫する方法」は、本来は医師が心電図をモニターしながら行う医療手技(頸動脈洞マッサージ)です。心臓が止まったり、動脈の内壁のプラークが剥がれて脳梗塞を起こす危険が報告されています。
- 高血圧・動脈硬化・心臓病・不整脈・脳梗塞や一過性脳虚血発作の既往がある方は行わないでください
- 首の血管に雑音(頸動脈狭窄)を指摘されたことがある方も行わないでください
- 緑内障・網膜剥離など目の病気がある方、目の手術を受けた方は、眼球を押す方法を行わないでください
- 高齢の方、一人でいるときは行わない
- 目に触れる前は必ず手を洗い、コンタクトレンズは外す
- 気分が悪い・目の前が暗くなる・動悸・めまいを感じたら、直ちに手を離してください
- 不調が続く場合は、自己流で対処せず医療機関を受診してください
以下は著者の解説です。安全に配慮できない場合は、記事の最後にある「呼吸に集中する」方法だけを行ってください。これは誰でも安全にできます。
そもそも「自律神経の乱れ」とは何なのか
今回は、自律神経を整える最強ストレッチということでお伝えしていきたいと思います。
まず最初に皆さんにお伝えしたいのは、そもそも自律神経、そこについて皆さん正しく理解していますかということなんですね。
僕が思うに、原因がわからない不調、寝不足、よく寝れない、リラックスできない、それからお腹の不調であったり、体温調節がうまくいかない。そういった「原因が何かよくわからないな」というもの全てを「自律神経の乱れですね」と言っているお医者さん・整体師さん・トレーナーさんがすごく多いんですよね。
そもそも自律神経とはどういうものかというと、よく知られているように、交感神経、副交感神経、このバランスから成り立っているものですよ、ということになってきます。
自律神経は「どうやって」調整されているのか
おそらく皆さんが知らないのは、自律神経の働きというのは、どのように調整されているのかということなんですね。
これは神経系全般に言えることなのですが、僕たちの自律神経というのはインプット・解釈・アウトプットのプロセスを経て、最終的な身体の状態、今のコンディションの調節に関わっています。
つまり、正しく今の身体の情報——自分は暑い状況にいるのか、寒い状況にいるのか、お腹がすいているのか、のどが渇いているのか——そういったことを感じられていなければ、そもそもちゃんと調節することはできませんよね。
そこには脳の解釈が加わってきます。そういった感覚情報を感じて、自分はこれからどういうことをするのかな。例えば「これからすごく高い山を登らなければいけない」とか、目の前にすごい坂があって「自転車でのぼらなければいけない」とか。それに備えて自分の心拍数を上げるとか、こういった脳の予測が関わってきて、本来は意識的に調整できないところを調整していく、という話になってきます。
最終的に、そのアウトプットを伝える神経もありますよね。そのアウトプットというのは主に脳幹の神経で行われています。脳幹から出ている脳神経が自律神経に大きく関わっているのですが、それぞれの神経の働きというものが、自律神経をちゃんと働かせられているのかということにも関わってきます。
だから「自律神経の乱れ」は広すぎる言葉
ここまでお話して皆さんお分かりかと思うのですが、一概に自律神経の乱れといっても、ものすごく広く、広すぎるくらいの話になってくるんですよ。
今の話の中でも、インプットに問題があるのか、解釈に問題があるのか、脳の予測に問題があるのか、それを最終的な身体に反映させるアウトプットの神経に問題があるのか。「自律神経の乱れですよね」というのは、「僕は不調ですよ」と言っていることとほぼ同じ感覚の言葉なわけなんですね。
今回狙うのは「副交感神経=迷走神経」
今日皆さんにお伝えしたいのは、多くの人が不調を自律神経の乱れとして訴えていることというのは、「リラックスできませんよ」「うまく寝れませんよ」とか、そういった状態だと思うんです。
そういった時に多く考えられるのが、副交感神経の働きが低下しているか、交感神経が過敏になり過ぎているような状態にあるというわけなんです。
そこで僕がお伝えしていきたいのは、副交感神経の最も大きな枝である「迷走神経」を刺激していくテクニックということになります。
これはすごく即効性があって、やっていくだけでその場で効果を感じていただけるものです。ぜひこれをツールとして——不調を根本から解消してくれるものではなく、皆さんが今感じている症状を改善するためのツールとして知っていただきたいという風に思っています。
① 眼球心臓反射を使う
⚠️ 眼球を圧迫する方法です。眼の病気がある方・手術後の方は行わないでください。強く押さないこと。この反射は心拍を大きく下げることがあるため、心臓に持病のある方は行わないでください。気分が悪くなったら直ちに中止を。
まず1つ目、眼球心臓反射なのですが、これはすごく知られているテクニックで。目には三叉神経という神経がありまして、それが目の感覚を感じているのですが、そこの神経を刺激してあげると、迷走神経にも影響が出て心拍が下がったり、副交感神経系の働きが活性化されるという、そういった反射があります。
これを使っていくと、リラックスした状態とか、自分の身体の交感神経を少し鎮めることができます。
やり方はすごく簡単で。目の形に指を作ってもらって、目に当てていきます。

この状態でグッと軽く押し込むようにしながら、しばらくずっとこのままでいます。

本当、これだけですね。もうちょっと具体的にその効果を確かめたい人は、最初に心拍を取っておいて、そのあとにこのように目を3分間くらいずっとただ押さえていく、というそれだけなのですが。
この状態で呼吸していけばいいのですが、そうすると心拍が下がって副交感神経の働きが少し活性化されて、お腹の具合がよくなってきたり、そういった反応が起こってきます。
② 頸動脈の圧感覚受容器を使う
⚠️ ここが最も注意が必要な部分です。これは頸動脈洞マッサージという医療手技にあたり、本来は医師が心電図をモニターしながら、蘇生の準備を整えたうえで行うものです。心停止・失神・脳梗塞の報告があります。
- 高血圧・動脈硬化・心疾患・不整脈・脳梗塞や一過性脳虚血発作の既往がある方は行わない
- 頸動脈の狭窄や雑音を指摘されたことがある方は行わない
- 高齢の方、一人でいるときは行わない
- 絶対に両側を同時に押さえない(著者も強調しています)
- 立ったまま行わない。失神したときに頭を打ちます
- めまい・目の前が暗くなる・動悸を感じたら直ちに手を離す
それともう1つ使えるテクニックとしまして、頸動脈の圧感覚受容器というものですね。これは迷走神経の隣にある舌咽神経というものを刺激していくということになってきます。
隣り合う神経はお互いに影響を与え合うという、そういった理論がありますから、頸動脈の圧感覚受容器を刺激してあげると、迷走神経にも影響が出て、同じようにして心拍が下がるという反射が起こってきます。
なので、これはやり方をしっかり聞いてください。
両方で頸動脈を押さえちゃうと、脳へ血流が回らなくなってよくないことが起こりますので、それは避けていただいて。片側どちらか決めていただいて、そちら側の脈をまず感じてください。

そこを軽く圧迫していきます。これもやっている中で、気分が悪くなったり意識が飛びそうになったりしたら、すぐ外してほしいのですが。この状態で自分が大丈夫だと感じられる範囲で、しばらく指をここにホールドしていきます。
これも大体3〜5分くらい。「いい感じになったな」「リラックスできたな」という風に感じられたのであれば、それでやめていただいて結構です。
目と組み合わせる
なかなか両方でやるのは難しいですけれども、例えば目と頸動脈で合わせてやっていくと、結構自分の身体が落ち着くような感覚が感じられるのではないかなという風に思います。

よく売っているアイマッサージャーもいいです。最近流行りのもので目をマッサージしてくれるものとかもあるので、アイマッサージャーを付けて温めながら目をマッサージしてもらいながら、自分で頸動脈を押さえる。血液を止めるわけではないですよ。圧感覚受容器という神経を刺激してあげるだけですので、押さえておいてあげる。そうすると一気に自分のテンションがリラックス状態に入っていくのが感じられるはずです。
③ マインドフルネスを組み合わせる(これが一番安全)
さらに言うと、そこにマインドフルネス、ちょっとした瞑想を合わせていったりするとよかったりするのですが、一番簡単な方法というのが、自分の呼吸に集中してあげるということですね。

それも何かをするわけではなく、ただ自分の呼吸。どれくらい吸って、どれくらい吐いているのかな。そういったものをただ感じていくということになってきます。それも加えると3選になりますかね。
それをしながらアイマッサージャーをつけて、頸動脈を少し押さえて、自分の呼吸だけに意識を向けていく。これをするだけで、おそらく皆さんが感じている「自律神経の乱れだな」という不調は結構なくなると思います。
それが例えば、寝る前に「よく寝れないんですよ」というのであれば寝る前にやっていただければいいですし、「緊張しすぎちゃうんですよ」というときにもこういったテクニックは使えるということになってきます。
僕なんかも競馬の騎手で、結構緊張する場面というのがあったりするので、そういったときにちょっと使ってみたりもしていたりします。
そのような形で、身体の仕組みを神経系から考えていくと、自分のいろいろな不調であったり、自分の身体というのはもっと自由になっていきます。ぜひこれを取り入れて、皆さんも自分の自律神経の乱れを整えてください。今日も最後まで見てくださって、どうもありがとうございました。
まとめ
- 「自律神経の乱れ」は「不調です」とほぼ同義の広い言葉。インプット・解釈・予測・アウトプットのどこが問題かで対処は変わる
- 眠れない・リラックスできない、は副交感神経の低下 or 交感神経の過敏であることが多い
- そこで狙うのが副交感神経の最大の枝=迷走神経
- ①眼球心臓反射:まぶたの上からごく軽く圧をかけて保持(著者は3分と説明)
- ②頸動脈の圧感覚受容器:片側だけ、軽く。両側同時は絶対に不可
- ③呼吸に意識を向けるだけ。これが一番安全で、誰でもできる
- ⚠️ ①②は心臓・血管・目に持病のある方は行わない。座って、一人でないときに、異常を感じたら直ちに中止
- ⚠️ これらは症状をその場で和らげるツールであって、根本解決ではない(著者もそう述べています)。不調が続くなら受診を
