大事な場面で必要以上に緊張してしまう。不安感が抜けない。メンタルトレーニングも本も試したけれど、根っこから変わった気がしない——。
こんにちは、宮崎ほくとです。神経科学に基づいたトレーニングの資格を持つトレーナーとして、体を根本から変える方法をお伝えしています。
結論からお伝えすると、緊張や不安は「心の持ちよう」だけの問題ではありません。それは自律神経の活動であり、その調整には体内の感覚(内受容感覚)が欠かせません。つまり解決の入り口はメンタルトレーニングだけではないということです。
⚠️ 不安や気分の落ち込みが強く、生活に支障が出ている場合は、必ず医療機関(精神科・心療内科)に相談してください。この記事の内容は、診断や治療の代わりにはなりません。
私も人一倍、緊張していました
何かを始める時に、必要以上にかまえてしまったり、緊張しすぎてしまったり。そんな経験ありませんか?
私は、騎手としてデビューして人一倍緊張感の強い方だと思っていました。「思っていた」と言うのは、人がどれだけ緊張しているか見る余裕すらなかったからで、それ故に自分が1番だと思っていたと言う事ですが(笑)
騎手に限らず、緊張したり身構える局面って誰しもにあるわけで、そのコントロールが上手くできる人って、人生において結構良いパフォーマンスを発揮できていたりします。
こういった話をすると、すぐに「メンタルだ!メンタルトレーニングだ!心理学だ!」ってなりがちで、実際に私もそういった事は嫌になるほど勉強してきました。
もちろん、そういった手法は役に立つし、全く否定するつもりもありません。しかし、すべては脳の活動と考えた時、それは1つの手段にすぎない事が分かります。
そもそも緊張は必要なもの
緊張を解決しようとする前に、緊張は必要なんだよって言うお話をしなければいけません。
当たり前の話ですが、緊張というのは、何かを始める前に体(脳)が行う準備のことです。緊張しなかったら、体も頭も上手く働きませんね。
緊張自体は、悪いものでも良いものでもありません。私たちが緊張と感じるものは、ただの生理学的な反応です。
では問題は何かというと、必要以上にその反応が起こる事です。
なぜ必要以上に緊張するのか
そもそも緊張を考えたとき、それは一体何かと言うと、自律神経の活動です。
- 心臓がドキドキしたり
- 汗をかいたり
- 頭に血が上ったり
交感神経の活動が優位になった状態の事です。そうして、次に起こる出来事に対して体を準備するのですね。
一般的には『副交感神経=良いもの』みたいになりがちだけど、脳は、交感神経と副交感神経のバランスを調整する事で、体を動かすための下地を作っているのです。
カギは脳が作る「未来予測」
どのように脳が体を準備するのか?それには、脳が作る無意識の【未来予測】が大きく関わっています。
普段あまり運動をしないあなたが自転車をこいでいて、目の前に500メートル続く急な登り坂が見えた事を想像してください。
この坂道を登りきろうと思った時、自然と心拍数は上がり、体は準備を始めます。どれくらい大変か分からないけれど、脳はとりあえず体を準備しますね。
そして、必要以上に緊張してしまう時、緊張が自分のパフォーマンスを下げていると感じる時、一体何が起こっているのかというと……脳の予測と、実際に起きている現実にズレが起きているのです。
脳が作る予測とは?
心臓がドキドキしたり、お腹が痛くなったり、怖くなったり。こういった緊張は様々な感覚情報を基に、脳が自律神経の働きを調整する事で起こります。
「感覚情報を基に、脳が自律神経を調整する」とはどういう事でしょうか?
例えば、苦手な人と会うとドキドキしたりしますよね。この場合、目で見た視覚情報でその人を認識します。そして「苦手な人=潜在的な危険」という解釈が無意識に起こり、不快な感情と共に体を準備しているのです。
これが予測を基に起こる自律神経の調整です。
実はこの時、目からの情報がある一方で、もう一つ、自律神経の調整に欠かせない情報があります。皆さん、なんだか分かりますか?
内受容感覚とは?
自律神経の調整に欠かせないもの、それは体内の感覚です。これを内受容感覚と言います。
自律神経の反応は、体の内部環境の変化です。体温とか、心拍数とか、血流とかですね。
つまり、そもそも自分の体内が今どんな状態にあるのかを感じる事が、自律神経の調整には欠かせないのです。
例えば、心臓を動かしているのは脳からの指令ですね。しかし、脳から一方的に「バクバクしなさい!」という刺激が出ている訳ではありません。
そういった指令がある一方、常に「今これくらいバクバクしてますよ〜」という感覚のフィードバックがあるということです。これが内受容感覚です。
そもそも体の中が今どんな状態かわからなかったら、その調整もうまくいきません。
例えば皆さん、今座った状態で、触らずに意識を向けるだけで心臓の拍動を感じられますか?
そして、脳でのつながりを考えると、この内受容感覚は感情ともすごく深い関係があります。お腹の中の無意識の感覚が、自分の感情に影響を与えているのですね……。
つまり、緊張したり不安感が強かったりする時、その原因は心の持ち様だけではなかったのです。
緊張を解決する方法はたくさんある
この一連の作業を行なっている島皮質の働きを考えた時、緊張や不安感には、お腹の働き、バランス感覚、周辺視野など様々な要素が関わっている事がわかります。
つまり、どこがちゃんと機能していないかを特定して、ちょっとトレーニングすると——「あれ?あんまり緊張しないな」「なんだか、心が安定しているな」そんな感覚が起こります。
私は眼をトレーニングする事でそれが起こりました。逆に、パソコン作業が多くて目が疲れていると不安感が強かったりもします。
この辺は、脳を勉強していると当たり前に感じる事ですが、具体的に何をすれば良いかを含め、一般的には全く広まってない情報です。
そして実はこの話、うつ病や統合失調症の根本解決等にもつながってきます。ですから、この知識を多くの人に伝えられたら良いなって思います。
⚠️ うつ病や統合失調症は、医療機関での診断と治療が必要な病気です。ここで紹介する内容は、治療の代わりにはなりません。すでに治療を受けている方は、自己判断で薬をやめたり通院を中断したりせず、主治医に相談したうえで補助として取り入れてください。
内受容感覚と、それを処理している島皮質の働きをどのようにして良くするのかということですね。少しずつ情報発信していくので、引き続き私のブログをチェックしてみてください。
いちばん簡単なのは「ベロ回し」
最後に、今日お話しした内受容感覚・島皮質にアプローチする最も簡単なテクニックとして、ベロ回しの動画を貼っておきます。緊張したときに、ぜひやってみて下さい。
まとめ
- 緊張は「体の準備」。それ自体は良くも悪くもない、ただの生理学的な反応
- 問題なのは必要以上に反応が起こること=脳の予測と現実のズレ
- 緊張の正体は自律神経の活動。脳は感覚情報から未来を予測して体を準備する
- その調整に欠かせないのが内受容感覚=体内の状態(心拍・体温・血流)を感じる力
- 体の中の状態が分からなければ、調整もうまくいかない
- 内受容感覚は感情とも深く結びついている。だから不安は心だけの問題ではない
- 処理しているのは島皮質。お腹・バランス感覚・周辺視野など入り口はたくさんある
- 著者は眼のトレーニングで変化した。逆に目が疲れていると不安が強くなる
- いちばん簡単なのはベロ回し
- ⚠️ 生活に支障が出ているなら医療機関へ。治療中の方は自己判断で中断しない
