「トレーニングで脳を鍛える」と聞くと、少し不思議に感じるかもしれません。でも、体の変化はすべて、まず脳から始まっています。
痩せたい、筋肉をつけたい、痛みをなくしたい——どんな目的であっても、脳のマッピング(感覚情報の地図)を鮮明にすることが最短ルートになります。
こんにちは、宮崎ほくとです。今日は手根骨のモビリティ(手の骨の動き)を使って、脳を鍛えるトレーニングをご紹介します。実際に自分の体で効果を検証しながら進めていきましょう。
なぜトレーニングで脳が鍛えられるのか
僕たちは何をするにも脳を使っています。筋肉をムキムキにしたい、痩せたいといった体の目的でも、最初に起こる変化は必ず脳から始まります。だからこそ、脳を変えてあげることが一番重要なのです。
脳は刺激に対して変わります。刺激に脳を順応させ、その残った変化が体に表れていく。ですから「どんな刺激を、どう送るか」を最初に考える必要があります。僕が話しているのは脳神経科学で、これは「インプット・解析・アウトプット」の仕組みそのものです。
脳のマッピングとは?
僕たちは見る・聞く・感じる・体がどこにあるかなど、あらゆる感覚情報を脳の中に振り分けて「感覚情報の地図(マッピング)」を作っています。プロプリオセプション(体の位置感覚)の地図や視覚情報の地図などです。
脳はこの地図をもとに、自分の周りの状況や体に対して常に予測を立てながら行動を作っています。トレーニングとは、ある意味この地図情報をより洗練させ、自分にとって使いやすいものにしていく作業だと言えます。
地図が鮮明になると、身体の動きが良くなり、より効率よく体を使えるようになります。

感覚の地図が痛みや不調を左右する
痛みは、脳が「体に危険が起きているかもしれない」と解釈した結果として作り出すアウトプットです。この過程で自分の感覚をどれだけ鮮明に感じられているかが、とても重要な役割を果たしています。
感覚はそもそもこの世界で生き延びるための仕組みです。目は危険を感知するため、皮膚感覚は虫が這い上がってきたらすぐ払いのけるため——そうやって体を守っています。
逆に感覚が働かず、脳の地図に情報として存在しない時、体は痛みを発しやすくなります。地図を鮮明にしてあげることで、痛みがなくなることもあるのです。
脳に「忘れられた」部分は不調になりやすい
有名なラバーハンド錯覚の実験では、鏡の中の手を自分の手と錯覚させると、後ろに置いた本物の手の血流や免疫が低下するという報告があります。
普通の人でも、脳に忘れられている体の部分はたくさんあります。特に内臓の感覚(内受容感覚)を忘れると、免疫が低下し、病気になりやすくなると考えられています。これは筋膜研究で有名なマイヤーズ氏なども指摘していることです。
体を動かすと「頭」も良くなる
体を動かす運動野は前頭葉にあり、そのすぐ近くに思考をつかさどるエリアがあります。つまり体が動くことで頭も良くなる。文武両道という言葉のとおり、体の動きが良い人は頭も良くなりやすいのです。
ただ体を動かせばいいのではなく、運動野を全体的に刺激し、血流を良くしてあげることが大切。そのためにマッピングの改善がとても重要になります。
大人になる時期(18〜22歳ごろ)に、脳は効率維持のため、使われなかった部分へのエネルギーを一気に減らします。でもその部分がなくなるわけではありません。もう一度刺激を送れば、必ず活性化します。脳はループで機能しているので、一箇所が働けば周りのエリアにも良い影響が広がります。
手根骨モビリティで脳を鍛える【実践】
では実際に、手のトレーニングで脳がどう変わるかを自分の体で検証してみましょう。
① 小脳のテスト
まず片方の手を親指から小指までくっつけ、できるだけ早く表と裏で交互に叩きます。反対の手でも行い、どちらか苦手な方を見つけてください。これは脳のバランスで働きが悪い側を見つけるテストです。

② 8の字トレーニング
苦手な側の手で、目の前で8の字を描くだけです。掌の骨(手根骨)は1枚ではなく、たくさんの細い骨がバラバラに動いています。そこを動かす感覚を脳に思い出させることがポイントです。
順回り・逆回りの8の字、人差し指先行・小指先行の8の字と、いろいろな向きで描きます。直線的でない複雑な動きほど小脳への刺激になります。前腕が熱くなってくればOK。最初はうまくできなくて当然なので、少し頭を使いながら動かしましょう。

③ 可動域でビフォーアフターを確認
本来は最初にやるべきですが、親指を上にして肘を伸ばしたまま、肩を前から上げる可動域チェックをします。そのあと8の字を各10回ずつ行い、もう一度チェック。すると腕がめちゃめちゃ楽に上がるのが分かるはずです。脳の働きが変わったからです。

この手のトレーニングを「良いじゃん」と感じたら、全身に同じ可能性が眠っているということ。全身でこれをやったら、普段の体は大きく変わります。ぜひ続けてみてください。
まとめ
- 体の変化はすべて脳から始まる。まず脳のマッピングを鮮明にする
- 感覚の地図が曖昧だと痛みや不調、免疫低下につながりやすい
- 体を動かすと運動野の隣の思考エリアも刺激され頭も良くなる
- 小脳テストで苦手な側を見つけ、手根骨の8の字トレーニングを各10回
- 可動域のビフォーアフターで、脳が変わった実感を確かめられる
