スクワットをするとき、「膝はつま先より前に出さないように」と教わってきませんでしたか。ジムでも部活でも、これはほとんど常識のように語られています。
こんにちは、宮崎ほくとです。神経科学に基づいたトレーニングの資格を持つトレーナーとして、体を根本から変える方法をお伝えしています。
結論からお伝えすると、スクワットで膝は前に出して大丈夫です。むしろ膝を前に出さないスクワットは、体にとって不自然で効率の悪い動きを脳に学習させてしまいます。今回は骨の動きに沿った「ボーンリズム」の考え方を使った、100倍効果的なスクワットのやり方を紹介します。
以前「膝は前に出しても良いです」と発信したところ、大きな反響がありました。それだけスクワットの正しいやり方が知られていないのだと感じています。
なぜ「膝を前に出すな」が常識になったのか
一般的にスクワットは、トレーナーをはじめ多くの方が「膝を前に出してはいけない」と教えています。しかしこの常識は完全に間違っています。今日はその理由を説明します。
そもそもなぜ、膝を前に出さない悪いスクワットが広まってしまったのか。これは1972年にアメリカのマサチューセッツ大学で行われた研究が基になっています。ところがその研究はたった3人の被験者を対象に行われた実験で、信憑性も再現性もないことが後になって分かっています。つまり、根拠になっている実験そのものが間違っていることになります。
膝を前に出さないスクワットが不自然な理由
膝を前に出さない動きを続けることは、そもそもすごく不自然な動きではないでしょうか。「しゃがんでください」と言われたら、人は自然に膝を前に出してしゃがみます。
もしスクワットで膝を前に出してはいけないのであれば、ジョッキーは全員膝を壊しているということにもなってしまいます。
効率の悪い動き方で筋肉をつけてしまうと、その後の疲れやすさや、バランスの悪い体の使い方になってしまいます。だからこそ、ぜひここで直していただきたいと思います。それを踏まえて、どんなスクワットをしていけばいいのかをお話ししていきます。
ボーンリズムを使ったスクワットのやり方
これから行うスクワットはボーンリズムの考え方を使ったスクワットです。これは、体の骨の骨端と骨端が同時に動くように動かしてあげると、すごく効率のよい動きができるという考え方です。
①「膝を出さないスクワット」との違いを体感する
横を向いて立って、スクワットをしてみてください。今は膝を前に出してもいいですよと言っているので、まずは膝を出してスクワットします。
次に一回、膝を後ろに引いたまま、つま先より前に出さないようにしてスクワットしてみましょう。
はるなさん「この辺までしかいかない」
今の動き方は、すごく効率の悪い動き方になってきます。大腿骨を考えて、もう一度やってみましょうか。

膝を前に出さないと、膝の部分がほぼ動かず、骨がものすごく大きい弧を描いて動いています。筋肉に負荷をかける点でいうと、もしかしたら良いのかもしれません。
しかし筋肉に負荷をかけてトレーニングをしてきた部分は、効率の悪い動きを学習してしまいます。僕たちが行う行動、動きの全てが脳の学習になるので、悪い動きをどんどん学習することは、良い筋肉を付ける以上に体にとって良くないことです。
効率の良い体の使い方を学習しながら筋肉をつけていくこと。僕はそれが良いと思っています。
②大腿骨頭と膝、2点が同時に動くように
それではどうすればいいか。今、2つの場所を触っています。皆さんも自分の大腿骨頭、骨盤から少し下がって一番出っ張っている部分です。もう一つは膝の部分です。

この2点が同時に動くように膝を前に出しながらしゃがみます。そこまで深くなくても大丈夫です。若干、膝の動きが足りないと感じたら、もう少し膝を前に出しながら行ってください。速さもゆっくりで構いません。

何回かやったところで、もう一回スクワットしてみてください。少し左の方が動きやすいですか?
は「うん」
しゃがみ込む深さも、左の方がやりやすいと感じていると思います。
③膝関節と足首、2点が同時に動くように
僕は後ろから見ているので分かりませんが、この調子で下の骨も見ていきたいと思います。もう少し膝を前に出しながら、膝関節と足首の2点が同時に動くようにしてください。

足首の関節は実際にはそんなに動きませんが、この骨で考えている時には、若干後ろに行くような動きがあります。はいOKです。
もう一回しゃがんでみてください。動きやすいですか?
は「うん、右の関節バキバキ言ってる」
右の関節がバキバキ言っているそうです。
⚠️ 膝や足首に痛みが出る場合は、すぐに中止してください。関節に不安のある方は、痛みの出ない範囲・浅い角度で行いましょう。バランスを崩しやすい方は、壁や椅子に手を添えて行ってください。
「筋肉に負荷がかからないのでは?」関節運動反射のはなし
このように関節の動きを最大限使いながらトレーニングしていってほしいのですが、「それでは筋肉に負荷がかからないじゃないか」と思われる方も多いと思います。
そこでもう一つ説明しておきたいのが関節運動反射です。僕たちの筋肉は関節についているものです。ですから、関節の動きを最大限に使ってあげることによって、筋肉はより働きやすくなるという理論があります。
骨の動きを意識したスクワットは、筋肉への負荷そのものは少なくなります。しかしその分、先ほど言った関節運動反射が働いて、筋肉の力の入れやすさ、筋力はアップしていきます。皆さんもぜひ、骨の動きを意識しながらスクワットをしてみてください。
まとめ
「膝を前に出すな」という指導の根拠は、被験者3人の古い実験にすぎません。骨の動きに沿って動けば、膝は自然に前へ出ます。筋肉への負荷を追うより、効率の良い動きを脳に学習させることを優先してください。
- 「膝を前に出すな」の根拠は1972年・被験者3人の再現性のない研究
- しゃがむ動作では膝が前に出るのが自然な動き
- 効率の悪い動きは脳がそのまま学習してしまう
- 大腿骨頭と膝、次に膝と足首が同時に動くように意識する
- 深くしゃがまなくてよい。ゆっくり、浅い範囲から
- 筋肉への負荷は減っても関節運動反射で力は入れやすくなる
- 膝や足首に痛みが出たら中止する
あわせて読みたい関連記事:
