(この記事は2019年1月12日に更新されました。)
今日は、三半規管についてお話しします。
意外と知られていませんが、アスリートを含め8割の人は前庭器官(三半規管と耳石器の総称)にいくらかの問題があると言われています。
そして、三半規管の不調は様々な不調の原因になります。
乗り物酔い
視力の低下
腰痛や膝痛
側弯症
猫背(頚椎、胸椎後弯)
鬱病や統合失調症
これら全て、三半規管と関係があるって知ってましたか??
そして、多くの人が三半規管トレーニングと言ってバランスボールに乗っていますが、それでは三半規管を鍛えることはできません。
なぜなら、三半規管は本来頭の動きを感知するものだからです。
そして、三半規管と言うくらいで輪っかは左右3つあります。合計6つの輪っかのどこに問題があるのか見極めることも大切です。
今日はみなさんに、簡単なテストとトレーニングの方法をご紹介したいと思います。
8割の人が問題を抱えている!三半規管を鍛える方法。
三半規管の構造
三半規管は、3つの「輪っか」が組み合わさった形をしています。
それぞれの「輪っかの」中にはゼリー状の液体が入っていて、頭が傾くと中の弁をひとつの方向に押します。
その結果、頭の動きを感知する仕組みになっています。
三半規管が弱いと言うとき、これら全部が弱い訳ではなく、その中のどれがうまく働いていないのか見極める必要があります。
三半規管の不調とは?
三半規管はとても繊細で、ちょっとした頭のケガでダメージを受けやすい器官です。
たとえ外的要因がなくても、刺激が不足する事も三半規管にとっては問題です。
体を動かす習慣がない人、デスクワーク主体の人。三半規管に軽度の問題を抱えているかもしれません。
左右どちらかの半規管の働きがおちると、頭が常に反対に傾いているように脳が錯覚します。
しかし、意識的に感じることはほとんどありません。
なぜなら脳は、眼からの情報でもバランスを保っているからです。
多少のズレは視覚情報で補正されているのです。
とはいえ、この情報の狂いは脳へのストレスとなり、痛みや不調の原因になります。
三半規管の反射
僕たちは意識せずとも、無意識にバランスを保ってますよね?
多少押されたりしても、よっぽどの事がない限り倒れることはありません。
それには筋肉を自動で調節する三半規管の反射が関わっています。
1.前庭動眼反射(VOR)
頭が動いても眼が一緒に動かないようにする手ブレ補正機能です。
三半規管に問題があると視力にも影響が出ます。
2.頸前庭反射(VCR)
首の筋肉とつながって、頭を安定させる反射です。
頭がユラユラしてる人は三半規管に問題があるかもしれません。
3.前庭脊髄反射(VSR)
脊柱起立筋群とつながって、姿勢を保ちます。
三半規管の不調が腰痛や側湾症の原因になります。
三半規管の情報は「島皮質」と言う場所で他の感覚と合わさります。
乗り物酔いで吐き気がするのは、「島皮質」が同時に内臓の感覚を処理しているからなのです。
三半規管の不調で起こる症状
では、どんな人が三半規管に問題を抱えている可能性があるのでしょうか?
・乗り物酔いが激しい
・事故やケガの後、視力が急激に低下した。
・お腹を壊しやすい
・側湾症
・人混みが苦手
・地に足がついていない感覚がする。
・鬱感情
・自分が自分でないような感覚
・慢性の腰痛
・慢性の膝痛
・首の不調
・音が聞こえにくい
これらの症状が起こる理由は、三半規管の問題が最終的に島皮質や脳幹の問題になるからです。
以上の中でいくつか当てはまるような項目がある人は、三半規管の問題が疑われます。
三半規管のテスト方法
では、どの様に三半規管の不調を確かめれば良いのでしょうか?
その1つの方法が前庭動眼反射(ぜんていどうがんはんしゃ)をチェックする事です。
前庭動眼反射とは頭が一方向に向いた時に、眼が反対の方向に動く事で、視覚情報のブレを減らす反射ですね。
テストでは、どの半器官(輪っか)に問題があるのかを特定します。
頭を向ける方向によって、違った半器官が働くので別々にチェックして行きます。
用意するもの:視力表
スマートフォンのアプリでもダウンロードする事ができます。
1.視力表ではっきり見えるラインを確認します。
両目で視力表をみてギリギリ見えるラインの1つ上あたりが目安になります。
視力を図っている訳ではないので正しい距離でなくても大丈夫です。自分の立っている位置からハッキリ見えるラインを確認して下さい。
距離が近くなると、必然的に眼が動く範囲が広くなりますので、より厳しくテストすることになります。
2.文字に焦点を合わせたまま、頭を8方向に動かします。
(1)で確認したラインの文字1つに焦点を合わせたまま、頭を動かします。
頭を向ける方向は全部で8方向です。鼻の頭が以下の方向に動くイメージで行なってください。
左(左横半器官)・右(右横半器官)・上(両後半器官)・下(両前半器官)・左上(左後半器官)・右下(左前半器官)・右上(右後半器官)・左下(右前半器官)
眼が反対の方向に動きます。
3.視力の変化をチェックします
頭を一方向に向けた時、文字がボヤける様であれば、その方向に対応する半規管(輪っか)に問題があります。
若しくは、頭と眼が別々に動いてくれない等、テスト自体をうまく出来ない場合も三半規管の働きが疑わしいでしょう。
でも、普段の生活では眼と頭は一緒の方向を見ていませんか…..?
頭と眼が同じ方向を見るときには、前頭葉を使ってこの反射を抑えているのです。まずはこの反射がキチンと働いてるか確かめる事が大切です。
三半規管のリハビリエクササイズ
テストで問題を発見できたら、問題のある方向への動きをトレーニングしていきます。
基本のやり方は、テストと同じです。しかし、意識して欲しいのはスピードです。
顔を問題の方向に向けるときは普通のスピードで。
真ん中に戻るときには、5秒かけて戻るようにしてください。
そうすることで、問題のある半器官だけを特定的に刺激する事ができます。
気持ち悪くならない範囲で、繰り返しこの動きを行って下さい。場合によっては3回~5回ほど弱っている半器官を刺激するだけで、痛みの問題が解決することもあります。
まとめ
以上が簡単な三半規管のチェック方法とリハビリのエクササイズになります。
実はこのテスト、歩くことと同じくらい当たり前に出来ているべき動作です。
一方で、三半規管のちょっとした不調はほとんどの人が持っている事も事実です。
異常を発見でに来たら、少しトレーニングするだけでも、思いもよらない症状の改善や、身体の動きの変化が起こるかもしれません!
視力をエクササイズの前と後でチェックして頂くこともオススメです。
是非試してみて下さい。
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