【有料級】首の可動域を改善する脳科学

泳いでいると体が蛇行してしまう。デスクワークで首だけが張る。振り向くとき、なぜか片側だけ回りにくい——首の左右の回旋は、多くの人がチェックすらしていない盲点です。

こんにちは、宮崎ほくとです。神経科学に基づいたトレーニングの資格を持つトレーナーとして、体を根本から変える方法をお伝えしています。

結論からお伝えすると、首の可動域は、首をストレッチしても大きくは変わりません。変わるのは「目」と「胸鎖乳突筋」を使ったときです。今回は水泳の指導者である超お父さんをお迎えして、泳ぎの軸がぶれる原因と、その場で首の回旋が変わる2つのアプローチを実演していきます。

泳ぎの軸がぶれる2つの原因

超お父さん(以下「超」)「泳いでて軸がぶれないように泳ぎたいという方は結構いると思うんですよ。僕も子供のころ『グネグネ泳ぎ』とコーチに言われていて、僕らの時代は、それに対してアドバイスはないんですよね。まっすぐ泳げ!でコーチのアドバイスは終了だった」

それができないから悩んでるんだよ、ということですね(笑)

超「疑問も持たないじゃないですか。がんばれ、まっすぐ泳げ、速く、みたいなことで完結して。僕らみたいなずっと水泳をやってきた人間は、まっすぐまっすぐと泳ぎながら自分の軸みたいなものを作ってこれたんですけど、僕も指導者になって指導していく中で、こことここだなというポイントが2つあって。

やり過ぎたらだめなんですが、ある程度骨盤後傾、まっすぐよりちょっと後傾くらいをキープして。その人によって若干違うんですが、背骨を軸に左右の動き、これをキープできると軸が安定しますよと」

背骨を軸にした左右の動きを説明している場面
骨盤をやや後傾でキープした、泳ぐときの軸のポジション

超「もう1つが結構盲点なんですが、首の可動域がなくて、一緒に顔も動いちゃう方がいるんですよ」

首の可動域が足りず、顔と一緒に体まで回ってしまっている例
首だけで振り向けている状態との比較

超「首の左右の動きと、骨盤の動きが、わかっていてもなかなか出せない方が多くて。今日はそこのエクササイズを紹介してもらえばなと」

なるほどなるほど。それでは、骨盤をちゃんとキープしたまま首の可動域を保って動ければ、競泳選手を目指すわけではなくても、これを取り入れていけば泳ぎが結構うまくなれるということでもあるんですかね?

超「そうですね。要はぐねぐねすると蛇行して泳いでいることになるので、軸がぶれなければまっすぐ25m泳げるのに、軸がぶれているせいで測ってみたら結果27mとか増えている可能性もあるので、シンプルにタイムが縮まるということになると思います」

いいですね。それをちょっと意識して泳ぐだけで、競泳選手とかでなくても、まっすぐな泳ぎに近づける、かっこいい泳ぎができるようになると。これはいいですよね、これは知りたいですよね。

超「ぜひ悩んでる方には。僕らは水泳をずっとやっているので当たり前になってしまっているんですが、そうでない方々は『そもそも動かないよ』という方もいらっしゃると思うので、教えていただければと」

これできるようになったら、多分水泳だけでなく、いろいろなことに通じてくることだと思うので。首の可動域だったり骨盤の後傾というのは、軸を作るという意味においてもすごく重要だと思うので、そこに関して僕が思う解決策をご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

実はこの間、僕もYouTubeチャンネルで水泳に挑戦してきたんですけれども、すごく難しいですね。でも、こういう話を聞けてちょっと意識して動けたら全然変わるんだろうなとすごく思いました。

超「ハマりますよ(笑)」

いや、若干ハマりかけた、そちらに突っ込みかけてますね(笑)

超「どっぷり来てください!」

どっぷりですか、僕も水泳チャンネルにしようかな(笑)

可動域チェック — 回旋と側屈の両方を見る

⚠️ 首の動きのチェックとエクササイズはゆっくり、痛みの出ない範囲で行ってください。しびれ・強い痛み・めまいが出たら中止し、頸椎に問題がある方や治療中の方は主治医に相談してから行いましょう。

ではやっていきます。まず最初に首の動きを改善していきたいということで、見せていただいて……超お父さんは、そんなに問題はないですよね。

超「はいはい、僕自身はそこまで。でも結構首が張りやすいんですよ。仕事で結構YouTubeの編集をしていたりとか、デスクワークをしなければいけないので」

そうですよね、泳いでればいいというものではないですよね(笑)

超「泳いでいるので肩はこらないんですよ。ただ、首だけは昔から張りやすくて、そこはちょっと悩みです」

① 首を左右に向ける(回旋)

では最初に動きをチェックしてみますか。まず首を左右に向けてみます。

首を左に向けて回旋の可動域をチェックしているところ
首を右に向けて回旋の可動域をチェックしているところ

この可動域が、泳ぐフォームで一番気になるということですよね。そこまで左右差もなく、動きは悪くないという感じですかね。

超「あんまりこの首の動きの可動域を気にする人はいないと思うんですよ。首を倒したり上下の動きはみんな気にするじゃないですか。左右に向くのはあんまりやらないですよね」

② 首を左右に倒す(側屈)

そうですね。そうしたら今度は頭をまっすぐに戻して、首を左右に倒してみてください。

首を左へ倒して側屈の可動域をチェックしているところ
首を右へ倒して側屈の可動域をチェックしているところ

これはよく気にする人がいますね。

超「これはちょっと硬めだなと自分では思っているんですけど」

なんでこんなことまでチェックしていくかというと、究極、首の骨はまっすぐ真横に動いているだけではなくて、骨の形状でいうと微妙な回旋が加わりながら、傾きながらひねりが加わるようになっているんですね。だから全て影響しているので、横の動きと回旋の動きを両方チェックしていきます。

アプローチ① 目のエクササイズ — 目と首はつながっている

ここまでやったところで、一般的なやり方というか、バイオメカニカルなアプローチと、神経科学的なアプローチ、どっちが好きですか?

超「どっちが好きなんでしょうね?」

でも今聞いていて、目を使うことが多いと話を聞いたんですよね。目の動きと首の筋肉は繋がっているんですよ。当たり前と言ったら当たり前ですが、僕たちは目と首の筋肉を協調させることによって、自分の興味のある対象に視点を向けるものですよね。

超「そうですね、目だけで見るわけではないですよね」

なので首の筋肉は、実は目の筋肉と関わっていて、目の動きが悪くなってくると、首の動きも悪くなってきます。その辺の説明をしておいて、ちょっと簡単なことをやってもらいます。

ペンを目で追って、苦手な方向を探す

ペンなどを用意してもらって、自分の目の前に立てます。目の前に持ってきてもらって、左右にゆっくり動かして、それを目で見ていきます。

目の前に立てたペンを、目だけで左右にゆっくり追いかけているところ
ペンを左方向へ動かして目で追っているところ
ペンを右方向へ動かして目で追っているところ

今、横だけやっているんですけれども、若干、右方向のほうが行きづらくないですか?

超「そういわれてみたらそうかも」

そうなんですよね。一回止まってください。ここまで行くとかなり深いので、皆さんは普通にやるだけで大丈夫です。

苦手な方向だけをトレーニングする

今度は右方向に動かして、

ペンを苦手な右方向へ動かし、目で端まで追ったところ

目をつむって、

端まで目を動かした状態でまぶたを閉じたところ

真ん中に戻る、

目を閉じたまま視線を真ん中へ戻しているところ

目を開ける。これを繰り返します。

真ん中に戻ってから目を開けたところ

こんな感じで片側だけトレーニングしていきますね。これで一回、首を右左にひねってみてもらえますか?

超「あ、右行きやすくなった!すごい!全然違う」

行きやすくなりましたよね。真ん中に戻ってもらって、左右に倒してみてください。これも違いますね。

超「本当だ、首のつっぱり感が違いますね」

目と首の協調をトレーニングする

そうしたら今度は、もう少し目と首の協調性をトレーニングしていきます。今度は、頭は左を向けるんだけども、目はペンを見ます。

頭は左に向けたまま、目だけはペンを見続けている状態

横まで行ったら目を閉じて真ん中に戻ります。

横まで動かしたところで目を閉じたところ

戻るときに3秒くらいかけて戻ってきます。

目を閉じたまま3秒かけて頭を真ん中へ戻しているところ

真ん中に戻ったら目を開けて、これを繰り返します。

真ん中に戻って目を開けたところ

左に行くときはスッと速くいきます。今、2重になったりしていないですか?はっきり見えていますか?

超「大丈夫です」

⚠️ 目のエクササイズで物が二重に見える、気持ち悪くなる、頭痛がする場合はすぐ中止してください。

大丈夫ですか。ではもう一回、右左を向いてみて、どうでしょう?

超「もっと行きやすくなった!左も!」

行きやすくなりましたね。では左右に首を倒してみてください。

超「あー違います違います、すごい」

こんな感じで、目はいろいろな方向に動けるんだけども、もちろん全部チェックしていくのが大事です。全部同じようにチェックできます。

特に左右方向というのは、首の筋肉などといろいろな理由から、前庭神経核とかいう話になってきてわけがわかんないんですけど、左右の動きだけでも動かしてあげるか、苦手な方向をチェックしてみる、トレーニングしてみると、これだけで結構変わったりしますね。

もう一回立って、さっきの動きできますか?

立った状態で、泳ぐときの首の動きを再確認しているところ

超「あースムーズですね。もともと重いわけではないですが、動きがクリアになったイメージ、スッと行くイメージがありますね。

こういうのって、僕はもともとアスリートだから敏感に感じ取れるじゃないですか。そうでない方って一瞬でわからなかったりすると思うんですよ。継続していくことでわかるようになったりということなんですかね?」

それもそうですし、そもそもがこれは首の感覚なんですよね。いったい自分の身体が今どのポジションにあるのかというのがすごくわかる、感覚が優れているという話をしたんですね。それっていうのは、自分の身体がここまで動いているというのを感じられることじゃないですか。

そもそもそういう感覚が優れていないというか、今トレーニングをやってもわからない。僕が見ていて、トレーニングをして明らかに変わっているけど、それに気づけないという人はやはりいるんですよね。

超「では、僕らは今撮影しながらカメラを見ながらやっているじゃないですか。皆さんも鏡を見たり、ビフォーアフターを撮ってみたりとかしたほうが、楽しみながらやれそうですね」

そうですね、それであったり……もう1つトレーニングやりますか?違ったアプローチでやってみたいと思います。

超「ぜひぜひ」

アプローチ② 筋肉のエクササイズ — 胸鎖乳突筋にスイッチを入れる

今のは目を使って変えていきましょうという話だったんですけれども、もう少し筋肉的な話を加えていくこともできます。

どうするのかというと、首をまわすときにこの動きに関わる筋肉。これは呼吸をするときにも大きな役割を果たしている筋肉なんですね。

超「水泳にちょうどよさそうですね」

ちょうどよさそうだなと思って紹介してみたいと思います。この筋肉を使えていないと、首を左右に動かす動きができないことが結構あったりするので、その筋肉にトレーニングではなくてスイッチを入れるということをやりたいと思います。

僕がお伝えしているトレーニングは、「こういう風に使えるんだよ、動けるんだよ」という身体の使い方を一回教えて、それを即座に自分の動きに統合していく。統合というと難しい言い方ですけれども、新しい感覚を使って自分の動きを作っていく。これをやります。

胸鎖乳突筋はどこについているか

何をするかというと、これは胸鎖乳突筋という筋肉なんですが、この筋肉はどこについているかというと、胸の一番上、喉仏とかのど元の真横になります。

のど元の真横、鎖骨の内側にある胸鎖関節の位置を示しているところ

ちょっとポコッとなっている鎖骨。これは肩の骨がついている場所です。肩を上下させるとここが動きますよね。これが鎖骨の胸鎖関節という場所です。

そして胸鎖乳突筋というのは、鎖骨と耳の下。耳の下に硬い骨があるのはわかりますか?

耳の下にある硬い骨、乳様突起の位置を確認しているところ

これは乳様突起というんですが、この部分と鎖骨を繋いでいる筋肉、この斜めの筋肉ですね。

乳様突起と鎖骨をつなぐ、斜めに走る胸鎖乳突筋

一時期、石原さとみさんがこの筋肉が美しいと有名になった筋肉なんですけど(笑)これが胸鎖乳突筋といいます。この筋肉の使い方を覚えさせます。

縮めてスイッチを入れる

何をするかというと、まず左側いきますね。左側をやるときは、軽く右側を向いて、そのまま頭を前に倒します。

左の胸鎖乳突筋を使うため、軽く右を向いたところ
右を向いたまま頭を前に倒したポジション

その状態で、少し胸を張るような感じで息を吸っていきます。

頭を前に倒したまま胸を張って息を吸い、胸鎖乳突筋を収縮させているところ

そうすると胸鎖乳突筋がぐっと硬くなるのがわかりますかね?

超「はいはい」

思い切り息を吸って、ろっ骨を持ち上げてきます。そうするとつりそうな感じになると思います。では1回リラックスして、まっすぐに戻ります。

⚠️ 首の筋肉がつりやすい動きです。つりそうになったらすぐにやめてください。息を大きく吸い込むので、めまいがしたら中止を。

超「1回でいいんですか?」

1回でいいです。ちょっともう1回、左右を向いたりして確かめます。

超「あ、こっち(右向き)が行きやすいですね」

行きやすくなりましたか?今やった方(左側)がうまく働くと、右を向きやすくなるので、同じことを反対でもやってみます。

左側を向いてもらって、骨の場所を確認して。乳様突起と鎖骨が近づけば筋肉が縮まるということになります。

右の胸鎖乳突筋を使うため、左を向いて骨の位置を確認しているところ

左を軽く向いて頭を前に倒して、筋肉が硬くなったところで思い切り息を吸います。胸が持ち上がってくる感じですね。この筋肉を縮めてあげます。きつい、もう息吸えないとなったらリラックスします。

ではもう1回、首を左右に確認してみます。

超「あーわかりますわかります」

行きやすくなりますね。こんなこともできたりします。

超「すごい。ちょうどこの筋肉、張るイメージがあったんです。耳のほうにかけて張りやすいなというイメージがあったんですよ。これですね、ぼくがやりたかったのは(笑)」

これですか(笑)

縮めたら、伸ばしてもみる

それで、縮めてばっかりだといけないので、一回伸ばしてあげてください。それにはどうすればいいのかというと、今と全く逆の動きをするんですね。なので左側をやりたいときは、左を向いて少し上を向きます。

左の胸鎖乳突筋を伸ばすため、左を向いたところ
左を向いたまま少し上を向いたポジション

胸を落として、だらしない姿勢を取ります。

胸を落としただらしない姿勢で胸鎖乳突筋を伸ばしているところ

できたらリラックスして、同じように反対側を向いて少し上を向いて、息を吐いていきます。

こんなのもやってあげて。ストレッチがいいか筋トレがいいかは人によっても違うので、もう一回左右を向いて確認します。それほどさっきと変わらないですね。

超「さっきのギュッとやったやつのほうが効果を感じます」

本当ですか。なので、最初の力を入れるほう。これが多分いいと思うので……皆さんも、人によっては中にはストレッチしたほうがすごくよくなるという方もいるんですが、超お父さんは縮めるほうの筋肉の使い方だというのを身体に教えてあげる、そしてトレーニングする必要もあります。こればかりやっていると変な姿勢になってしまいますからね。

超「なるほど、ちょっと刺激を入れてあげるような形ですね」

そうですね。ちょっと刺激を入れてあげて、使い方さえ分かっていれば動きが変わってきます。

超「全然ここ(耳の下あたり)の感覚が違います。使った感じがここまできているというか」

大事なのは「泳ぐ直前にやる」こと

本当はもっといっぱいあるんですけれども、全部やっていたら1時間とかではきかないので(笑)

超「超大作になっちゃう(笑)」

超大作になっちゃうので(笑)どんだけ首の動き治したいんだって感じになっちゃうので(笑)でも、こういうのを取り入れながら、自分で目でやるのがいいのか、筋肉に力を入れるのがいいのか試してみて、いいやつを取り入れてください。

超「そうですね、手軽にできるのが一番いいですもんね」

そうですね。そして最終的に、泳ぐときの身体の軸を練習してあげると。

超「いやー、これ今すごく泳ぎたい。絶対これ泳ぎやすいなー」

なので、トレーニングってトレーニングだけでやる人が多いんですが、僕がお勧めしているのは、これを泳ぐ直前にやってほしいということです。

超「前回のもいつもやってます。調子悪いと水の中でこうやってやってます」

水中でも同じドリルを使っているという話をしている場面

いや、使ってもらえると嬉しいですね。

超「最高ですよ。評判いいですよ本当に」

やったー!いえーい!

超「『足の甲ってこんなに動くし伸びるんですね』ってみなさんおっしゃってます」

それは皆さん知らなかったんですね?

超「前回の動画も見てください的な」

そうですね、戻ってチェックしてみてください。かなりいいこと言ってますね。

超「言ってます。聞きたかったことがそこに」

では次に行きますか。

超「そうですね、骨盤の動きですね」

(続く)

まとめ

  • 泳ぎの軸がぶれる原因は①骨盤(やや後傾でキープ)②首の回旋の可動域の2つ
  • 首は真横に動くのではなく、傾きながらひねりが加わる。回旋と側屈の両方をチェックする
  • 目の動きと首の筋肉はつながっている。ペンを目で追い、行きづらい方向を見つける
  • 苦手な方向へ目を動かす → 目を閉じて真ん中に戻る → 目を開けるを繰り返すだけで首が回るようになる
  • 次は頭は逆を向けたまま目でペンを追う=目と首の協調のトレーニング
  • 筋肉から攻めるなら胸鎖乳突筋。反対を向いて頭を前に倒し、胸を張って息を吸うと縮んでスイッチが入る(1回でOK)
  • ストレッチが効くか収縮が効くかは人による。試して効いたほうを採用する
  • 一番のおすすめは泳ぐ直前(動く直前)にやること

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